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日記一覧

 人間というのは順応しやすい動物であると思う。こうして短い文章ばかり書いていると、思考は短絡的になり、長考を無意識に嫌い、何ごとも短慮がいいと思うようになってくる。これはいけないな、と、そう思って、たまには、少し長いものを書くようにしなくて

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 今の日本では一人になるということが難しい。いや、一人にされることがなくて優しいと表現を変えることも出来るだろう。一人になるというのは、何も、仕事を一人でしているとか、車を一人で運転しているとか、一人暮らしをしていると、そうしたことではない

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 逸脱者たちの優雅な日常というタイトルで、筆者の知るところのマニアたちの優雅に思えた日常について書くというのはどうだろうか。SМパブのオーナーとなり、引退後は山にこもって陶芸などして過ごす人。М女から女王様、そして、クラブ経営を経て四十歳前

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 人はいつ頃から繋がりを求めるようになったのだろうか。絆、と、声高に叫ぶようになった頃からなのだろうか。それとも、そのもっともっと前から、人は、繋がりを欲していたのだろうか。 筆者がエロ業界に入って来たばかりの頃、あの頃は、とにかく忙しくて

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 野次馬根性は旺盛なのに、野次馬にはなりたくない、と、そう思っている。災難の当事者になどなりたくないが、災難の傍観者にもなりたくない、と、そう思ってしまう。新しい刺激のために苦労してしまう。新しい快感のために努力してしまう。より美しいもの、

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 深夜の喫茶店もファミレスもなくなったからだろうか、街でネタを拾うということが少なくなった。何だか世の中がつまらなくなったと感じるのは、単純に筆者が、もう老人になったということなのだろうか。それとも、本当に、世の中はつまらなくなってしまった

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 喫茶店の有難さや面白さ、そして、良くも悪くも、それがあることの必要性のようなことに理解のない人と、筆者は気が合わない。喫茶店の意味の分からない人が好きではないのだ。コーヒーにあんな高い料金を払うのは、もったいない、と、そう言う人とは、関わ

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 筆者は喫茶店で本物の拳銃というものを二度も見たことがある。いや、正確には、二度とも拳銃は見ていない。それらしき物を見ただけだ。一度目は、風呂敷に包まれていた。四人のそれらしき男たちの話で、それが拳銃に違いない、と、そう思ったのだった。ゴト

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「あのね、グラビア撮りたいのは、そっちなんだよ。私は聖水さえ撮らせたことがないのに、今回は黄金まで撮影させようって言うんだよ。それなのに、私の言うことは、一つも聞いてくれないんだ」 いや、筆者自身が彼女のそれを口に入れるという話は受け入れて

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 横浜駅は、ほんの少し歩き、大きな道路を渡るだけで閑静な住宅街に出る。駅前には大型の喫茶店がいくつもあるのに、彼女は、それを嫌って、筆者との打ち合わせには、いつも、少し不便な場所にある喫茶店を指定した。彼女が運営するSМサークルの事務所から

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 子供の学習意欲の問題について論じる声が聞こえていた。同じように、それを熱く語る彼らには、入浴シーンやオナニーシーンだけではなく、オシッコシーンも撮影して欲しいという女の声が聞こえているということなのだろう。絶頂の顔も撮影して欲しいけど、す

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 その女は筆者とは無関係なマニア雑誌に連載を持つことになっていた。細身の美人で基本はМ女なのに、女王様プレイでも彼女は人気だった。ビジネスでSМをしているが本人は、むしろ、面倒が嫌いで、寝ているだけで勝手にしてもらえるセックスが一番好きだ、

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 コーヒーに拘りのある少しばかりマニアックな喫茶店の二階の部屋のドアをノックすると耳慣れたママの声で「どうぞ」と、言われた。ドアを開けると、フローリングの床にラグマットが敷かれ、ドアの正面には大きな窓があり、そこには厚い黒のカーテンがあった

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 私鉄の駅を降りてから、少しばかり歩かなければならなかった。駅前にあった短いアーケードを抜けると、大きな道路にぶつかり、そこを渡ると住宅街になった。住宅街は静かだが、古書店があったり、専門書の品揃えが充実した書店があったり、画材道具の充実し

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課題小説
2023年03月16日15:22

 今回は怪談、もう暑いので。https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1213631&id=99771880#comment_id_1596908373

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 エロ小説を書くことに疲れていた。エロ告白を書くことに疲れていた。エロ取材記事を書くことに疲れていた。信じられないことだが、あの頃、あの頃というのは、もう、今から四十年近く前のことになる。あの頃は、一人で月に一冊のペースでエロ雑誌を作ってい

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 コーヒーは栄養ドリンクではない。その刺激が想像力を増幅するなどと信じているが、それが嘘だということも分かっている。本当は眠気覚ましにさえなっていないのだ。それでも筆者たちは喫茶店を利用していた。打ち合わせなら会社でも出来た。原稿など事務所

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 怪しいお客しかいない。大半は性風俗か水商売の関係者のように思えるのだが、その中に、明らかに非合法を商売としているような男たちもいた。そんな店の中において、さらに目立つ男が筆者の前に座っていた。紫のスーツ。ネクタイは分かりやすいアルマーニ。

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 池袋駅を表現するのに渋谷と新宿の中間というのは、まったく当たらないかもしれない。しかし、筆者は、池袋をそのように感じていた。山手線の駅の順番ではなく、その駅から感じるイメージが渋谷と新宿の中間のように思えていたのだと思う。今は、そんなイメ

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「オシッコを撮られるのが嫌なの。女王様にむいてないんじゃない。私ね。パンツも脱げないような女王様って嫌いなのよ。だって、商売なんだから。性を売ってるのよ、私たち」 そんなことを言って、取材でもないのに、筆者と新人の風俗嬢の前で彼女は平気でパ

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 新宿に会社があったわけではないのに……。池袋に住んだ経験もないに……。しかし、新宿や池袋にいると寛ぐことが出来たのだった。不思議なことに、別の都内の駅から新宿や池袋駅に降りると、帰って来た、と、そんな感覚になるのだった。 ところが、マニア

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 午後三時からの取材。筆者は二時に喫茶店に入った。店に客はなかったが、ランチの後だったのだろう、いくつかのテーブルには、まだ、器が載せられたままになっていた。筆者は、自分がいつも利用している席にも汚れた器がそのままであることを確認し、レジ前

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 池袋から電車で、わずか三十分程度離れただけで、ずいぶんと遠くに来た、と、錯覚させられたものだった。性風俗の取材とはそうしたものだったのだ。そのほとんどの店は主要都市の主要駅の近くにあった。ところが、マニアのサークルなどは、しばしば郊外にポ

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「あーあ、本当に、来たんだ」 席に座っていたのはロックバンドか何かをやっていそうなファッションの二人の女だった。店のドアを開け、彼女たちの席に向かったのは、その店には似合わない地味なスーツ姿の初老の男だった。スーツは地味だが仕立ては良さそう

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 オシャレで綺麗なデパートを抜け、インテリジェンス溢れる書店の入ったビルを横目に大通りを渡ると、新宿はその顔色を変えた。小劇場のある不自然な自然公園とそこから見える古いラブホテル、その横にゴールデン街。まさに、当時の新宿を象徴するような光景

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 茶色というよりも黄色に近い店内の内装。深夜二時ということを除けば、まるでチャイルドルームだ。トイレは、店の奥の少し窪んだスペースの向こうにある。郊外のSМクラブだが、老舗ゆえに、何度も取材で訪れていた。ゆえに、その喫茶店も何度も訪れている

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