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日記一覧

 四人ともに疲労はピークに達しているはずなのに、深夜二時を過ぎる頃には、テンションがおかしくなる。そうした撮影では本番、つまり、セックスにおける挿入が疑似ではなくなるように契約してあるのだが、もし、そうした契約がなくても、女の子たちは、それ

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 クリスマス・イヴの夜。筆者は全裸の女の子二人の間に寝ていた。ベッドはキングサイズ。三人で寝ても十分に余裕があった。ラブホテルのその部屋はスワッピングマニアのために特別に用意されたものだった。なんと、キングサイズのベッドの他に普通のダブルサ

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「少し飲んじゃったじゃない。汚い、最悪、酷い、不味い、嫌、こんなこと、どうしてさせたの」 本当に嫌なら、口に入って来た瞬間に吐けばいいのだ。ところが、飲まされたと文句を言いながら、浴槽から出ようともしない。それどころか、文句を言った後、再び

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「セックスが気持ち良いのって嫌いなの。おかしいでしょ。アソコが痛いほうがいいの。強引で気持ち良さがないほうが気持ちいいの。変でしょ。醜い男のほうが好きなの。嘘だと思うでしょ。全部、本当なの」「分かりますよ。テストで百点をとったら、次も百点を

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 高級そうな石鹸をタオルで泡立てる。スポンジも置いてあったのだが、スポンジは使わない。タオルでなければいけないと性風俗嬢から教わっていたからだ。それが嘘か本当かは知らない。 そして、泡を素手にとって奥さんの身体に塗って行く。まるで彫刻家が自

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「うちの人、醜いでしょ」 筆者の関わる弱小出版社のスポンサー夫婦の別荘で三人プレイをした後、筆者はその奥さんと二人で風呂に入っていた。旦那はリビングで先に酒を飲んでいた。筆者に同伴した童貞の男と一緒に。 あの頃。弱小エロ出版社が、その売り上

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「君は、酒が強かったんだね」 筆者は二人になったとき、その男に言った。先に部屋に入った彼が寝しなにと缶ビールを持っていたからだった。旦那と同じペースで飲んでいたのに、その男には酔った様子が見られなかった。むしろ、かなり後から参加したのに筆者

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 小柄で太った旦那はとにかく明るく、逆に女性としては長身で少し痩せ過ぎの奥さんは暗かった。筆者と一緒に行った社長の甥も暗い。仕方なく筆者だけが旦那に合わせてバカを言い合ってベッドインとなった。同伴した男は、もじもじとしたまま、やはり無理だと

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 弱小出版社と付き合うのはリスクばかりで、ほとんどメリットらしいものはなかった。同じエロ本でも、そこそこに大きな出版社のほうが製作費もあるし、グラビアに使えるモデルも美人になるし、風俗取材も楽だったのだ。その上、そこそこの会社ならギャラは必

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 その男は常に虚空を見つめていた。確かに出版を志すような者は明るく社交的であるということはないのである。何しろ、子供の頃から一人で本を読んでいるのが好きだったようなタイプが出版を志すのだから。それは分かっているのだが、その男ほど暗いのは、そ

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「じゃあ、今から、お店、止めて来ます」 一番かかわってはいけないタイプの女だった。この相手の都合をいっさい無視したところの究極のマイペースが周囲を悲しみの底に突き落とすのではないだろうか、と、筆者はそんなことを思いながら、しみじみと彼女の顔

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「四月生まれの妹がいたんです。私が十二歳で妹が十歳になったばかりの日。家族で誕生日のお祝いをしていたんです。その時、私、二月の自分の誕生日には何もしてもらっていないって気づいたんです。それで、母にそう言ったら、お前は、お祝いされたりするのが

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「でも、どうして」 どうして公園のベンチなどに座るのかは、こちらが尋ねたいことだった。プレイに行くならラブホテルを目指すはずだし、プレイがないなら待機室にいればいいことなのだ。まだ、帰るのには早い時間なのだから。「喫茶店に入るほどではないけ

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 遅刻することがケガをすることよりも嫌いだった筆者は、取材のときには、一時間以上の余裕を持って現地のそばに待機していた。たいていは喫茶店にいた。しかし、それはトラブルに備えてのことなので、トラブルがあれば、その一時間前には遅れることになる。

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「私、ずっと一人だったんです。子供の頃から一人だったんです。家族といても一人だったんです。多分、普通より頭が悪かったんだと思います。だから、普通のことが理解出来なかったんだと思います。おかしいことも、悲しいことも、楽しいことも、理解が出来な

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「少しは落ち着いたかな。どうせ、食事に出るから、その時、駅まで送るから、それまで、そっちで横になっていたらいいよ」 筆者は使っていないベッドを指して言った。ツインの部屋をとり、一つのベッドを撮影で使い、もう一つは、そこに泊まる者のために残し

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「気持ち悪くなっちゃったんです。少し、横になってもいいですか」 酷いスカトロの撮影の後では、気持ち悪くなってしまうモデルもスタッフもいるものだった。モデルに気付かれないようにしながらトイレで吐くスタッフさえいたぐらいなのだ。それは珍しいこと

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 あの頃、エロ本屋は、しばしば、都内のシティホテルを違法に利用していた。つまり、普通の宿泊のふりをしてマニア撮影などしてしまうのである。さすがに大型のライトなどを必要とする本格的な撮影となるとスタジオやラブホテルに撮影と告げた上で部屋を借り

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 愛情が分からないということは、愛される必要がないということだから、モテない筆者などには、いっそ、人生が気楽でいいように思ったが、それは誤解だった。「他の人たちと楽しいが共有出来ないって、孤独なんですよ。学生の頃は、教室や廊下で皆が笑ってい

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「それが何歳ぐらいの話だったのかは覚えていないんですよ。すごく小さかったような気もするし、小学校の高学年ぐらいだったような気もするんです。その時、一緒にいた女の子のことも覚えていないんです。ただ、俺は、女の子と倉庫の中の使われていないテーブ

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「本、作りたかったんですよねえ」 その男は飲みかけ食べかけの紙皿や紙コップをゴミ袋に分別収集し、ていねいにつぶしてスポーツバックに入れながら、まだ、絨毯の蝋燭の跡と格闘している筆者に言った。「エロ雑誌とかエロ本じゃなくて、もっと文学的な何か

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「こんなこと、いつまでやってるんでしょうねえ」 新宿のシティホテルの少し高級なスイートルームに男二人。その頃、筆者は三十代前半。その男はそれより少し下で、まだ、二十代だった。筆者は、絨毯に付いた蝋燭の跡を消していた。熱湯、歯ブラシ、少しの漂

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 筆者は、しばしば、風俗嬢が待機している部屋で取材待ちをさせられた。取材する風俗嬢が遅刻するからだ。筆者は、自らが遅刻しないために一時間前には取材先の店のそばの喫茶店で待機していた。ゆえに、そこで遅刻を教えてくれれば、喫茶店で待てるのだが、

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 昭和の終わり頃。思えば日本はおかしかった。皆が何かに浮かれ、多くの日本人が何かを夢見ていたというのに、その陰には寂しい人がたくさんいた。浮かれた人の中の寂しさ。何かが矛盾していたのだ。 いかがわしいパーティがたくさんあった。SМパーティ、

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 筆者がエロを仕事としたのは、当たり前だがエロが好きだったからだ。スポーツを好きになる人がいるように、音楽を好きになる人がいるように、料理、学問、旅行、車を好きになる人がいるように、筆者はエロが好きだったのだ。 しかし、そんな筆者にも迷いは

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 昭和の終わり頃、出版はお祭りだった。企画が通り出版が決まれば製作完了までは神輿を担いで練り歩くばかりだった。わっしょいとまでは言わないが、掛け声が聞こえてきそうな勢いだったのである。 いや、それは出版だけはない。あの頃は、日本中が一年中、

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