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日記一覧

 池袋の奥は深い。地下街を出て数歩のところからSМクラブが存在しているかと思えば、駅から三十分も歩いて、ようやく辿り着けるSМクラブもあった。当たり前だが、喫茶店の数も多くあった。筆者は、北口の二軒の喫茶店を多く利用していた。二軒ともに、風

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 目黒のSМクラブが苦手だった。嫌いだったのではなく苦手だったのだ。五反田のSМクラブは好きだった。恵比寿のSМクラブには特別に親しくしていたところが少なくなかった。しかし、目黒は苦手だったのだ。 それでも、取材記事というのはバランスが大事

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 横浜のSМクラブは多くなかった。多くないのに、どの店も家庭的だったように記憶している。京急の駅にあるSМクラブは、さらにその特徴が濃くなったようにも記憶している。 そんな店の中に、SМクラブの名前は平凡だったのが、筆者が勝手に家族ごっこと

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 彼女が言うのは、いつも同じだった。「いらっしゃい。コーヒーね」 たった、それだけだった。久しぶりとか、いつも大変ねとか、いい天気ねとか、そうした余計なことは、いっさい言わなかった。 お店も、何の変哲もない普通の喫茶店だった。カウンターが八

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 お腹を空かせて取材に行くのは大塚だった。どこの店の取材だろうとお腹を空かせて行った。大塚は美味しい店が多くあったからだ。洋食。おにぎり。サンドウィッチの美味しい店もあった。そして、美味しいものを食べた後に、不味いコーヒーを飲みながら取材記

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 あまりにも当たり前のことなのだが、上野には喫茶店はいくらでもあった。ところが、上野にはSМクラブが少なかった。湯島に抜ければラブホテルも多くある。そうした場所にはSМクラブが多く出来るはずなのだが、少なかった。 上野の駅前に有名なSМクラ

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 麻布にはSМクラブが多くあった。しかし、麻布近辺の喫茶店には油断が出来なかった。三十年近く前のことになるのに、その頃で、すでに、コーヒー一杯が八百円という店が珍しくなかったからだ。うっかり入ると経費が精算してもらえなかったりした。その頃、

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 落ち着かない場所だから、何かを書くのには、かえって落ち着くという不思議なことがあるものだ。 中目黒にあったその店は、ただの喫茶店なのだが、何しろ店内に色が多く、どれも濃いのだ。壁紙は朱色にオレンジに黒に白。くすんでいるのは白だけで、あとは

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 今なら理解出来るというものがある。筆者がマニア取材をはじめたのは、もう何十年も前のことになる。何十年も前には、いくら話を聞いても理解出来ないことが多くあった。たとえば、そこに全裸の女がいるのに、その女には興味がなく、その女の下着を欲しがる

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十一月書き方課題小説
2017年11月20日00:26

 指で引けない物に手を出すな。目に触れない物に手を出すな。非道を行わず、いかさまはするな。表と裏を足して七にならないサイコロはない。  これが指引き師に伝わる言葉だった。指引き師とは、ようするに盗人のことである。盗人ながら、指引き師の称号を

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十二月書き方課題小説
2017年11月16日17:46

 化学繊維が焦げたような臭いの中で目が覚めた。寝ているのはベッドの上ではない。そもそも、最後にベッドで目覚めたのがいつのことだったのかも忘れてしまった。三日前だったか、一か月前のことだったか。左腕が触れているのはモルタルの壁。右腕が触れてい

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 筆者の作品の九割以上は喫茶店やファミレスで作られている。これは昔からそうだった。そのために、多くの喫茶店で顔を覚えられたものだった。 風俗取材を、十年以上もやっていると、同じ風俗店の取材を何度もやることになる。多い店は二か月に一度の割合で

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 思えばサロンでも、いろいろな新しい企画、新しい遊びを提案して来た。サロンの中で盛り上がり、そのまま廃れてしまったようなものもたくさんある。 創造性のない性の遊びをサロンは嫌って来たように思う。ただのエッチにしか興味のない人たちには、サロン

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 書評や映画評、ビデオ評を依頼されることがあった。筆者は基本的にそうした仕事は断っていた。小説も映画も、筆者などに何か言われるのは不本意だろうな、と、そう思ったからだ。褒めているから、薦めているから良い、と、そう言われることもあったが、筆者

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 最近の人たちは遊ぶことが出来なくなっているように思う。遊びの現場でさえお客さんなのだ。ハロウィンなどを見ていると、それを強く感じるのだ。用意してもらった場所で、許可されたことを皆でやる、それは遊びではなく、幼稚園のお遊戯なのだ。お遊戯が楽

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 さて、封印されたルポをいろいろと思い出しながら書いている内に、封印したわけでもない、どうでもいいことも、いろいろ思い出した。たとえば、話にもならない雑誌企画とか、絶対に無理な性風俗店のアイディアとか、没になったSМクラブの新プレイ考案とか

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封印したルポ(おわり)
2017年11月10日15:35

 封印された怪しいパーティの話は、まだまだ、たくさんある。今回は東京だけに限定したが、パーティとして派手なのは、大阪、博多、そして、意外と新潟だった。マンションの全てがSМクラブで、パーティの時には、マンションの共有の廊下からエレベータ、屋

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 西新宿にある瀟洒なマンション。窓から見える景色は樹木。ちょっとしたリゾート気分。しかし、バスルームに続く部屋は簡素だった。廊下から部屋の中まで安いビニールのジュータンが敷いてあり、中のソファーなどもいかにも安いビニール貼りだ。中央には、や

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 果物を食べるのがエロティックだということは知っていた。しかし、それだけだった。エロティックであることと性的に興奮し快楽に繋がることは別のことなのだ。筆者はその風変りなパーティに出るまで、完全にそう思っていた。 誘ってくれたのは、マニアイン

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「素敵な景色ね」 話しかけてきたのは妙齢な年齢の女性だった。いい加減な記憶なのだが、確か、カップルで来た女性だったはずだ。「エロ雑誌の記者さんなんですってね。ねえ、舐めてもいい」 驚いて返事が出来なかった。何の話をはじめたのか理解出来なかっ

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 あるSМクラブのオーナーに運転手として、秘密パーティに誘われたことがある。オーナーは車も免許も持っているのだが、どうやらパーティが貸別荘で行われるらしく、自分の車にはバーベキューの素材などを積み込むので、店の女の子全員は乗せきれないのだと

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 全裸の背中がじっとり湿り気を帯びてくる。汗ではない。もっと別のものが筆者の背中を湿らせているのだ。だいたい、この女はどうして、下着を付けていないのか、それが筆者には分からなかった。 膝と肘を床につけたまま、細いとはいえ長身の女を背中に乗せ

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 女王様とМ男しか参加出来ない秘密パーティがあると聞かされたのは、数十年前のことだった。筆者をそのパーティに誘ったのは、長身の女王様だった。別に彼女は本当のSというわけでもなかったし、筆者は彼女の奴隷だったということでもないのだが、とにかく

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 一流といわれるところのシティホテルのスイートルーム。そこで行われるパーティ、参加者の到着時間は、厳密に指定されているらしかった。早すぎても遅すぎてもいけないと彼女は言っていた。ホテルでのパーティなど許されているはずもなく、当然だが、秘密で

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