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日記一覧

どこで何を、その5の1
2020年04月30日00:00

 この公園、もっと、人がたくさん住んでいなかったかなあ、と、思いながら、奥に入った。何年か前に、ここで殺人事件があったことを思い出した。少しの恐怖はあったが、それよりも、あまりに人のいないことのほうが奇妙だった。 遠くに見える高層ビルの灯り

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どこで何を、その4の2
2020年04月29日01:40

「結局、私は、どんな社会でも生きられなかったんだよ。それは子供の頃から一緒。そもそも、母親とうまくいかなかった。妹とも険悪だった。学校に行っても、誰ともうまくいかなかったんだ」「そんなふうには見えなかったけどね。今だって、綺麗な奥様に見える

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どこで何を、その4の1
2020年04月28日17:06

「最近は、この公園にも、すっかり人が増えたんだよねえ。でも、今夜は、だーれもいないけどね」 その昔、露出マニアの撮影をするときに、よく使っていた公園で筆者は妙齢の女性に話しかけられた。「そうみたいですね」「あ、私が誰だか分かってないでしょ。

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どこで何を、その3の2
2020年04月27日00:05

「ビールとタバコで風邪がよくなるとでも思っているんじゃないだろうな」「だから、あんたが来てくれる。あんただって、同じような時、朝バナナ缶とカロリーメイトで治したって言ってたよなあ。同じだろう」 確かに、それはそうだ。しかし、それは、女にモテ

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どこで何を、その3の1
2020年04月26日00:19

 古いマンションだった。五階建てのマンションなのにエレベータもない。近くの駐車場に車を停め、そこにあったはずの家を筆者は探していた。その家は、中学生まで友達だった男の子の家だった。しかし、その家は見つからず代わりに古いマンションだけが筆者の

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どこで何を、その2の2
2020年04月25日00:17

「私ね、子供の頃から、そう、一番‎古い記憶から、ずっと、いらない子って言われて来たの。アル中で、ヒモみたいな男が父親、この男を引き留めたい、それだけの理由で私を生んだ母親。でもね。男が自分を子供好きなんて言っていたのは、母親の気を惹く

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どこで何を、その2の1
2020年04月24日16:39

 喫茶店の看板が見えた。迷わずに車を駐車場に入れたところで迷った。その二十四時間の喫茶店はとっくになくなっていたはずのものだったからだ。再開。いや、この時期に‎二十四時間が再開などするはずもない。でも、まあ、よかった。どこにも行く場所

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どこで何を、その1の2
2020年04月23日15:49

 エロ本が性犯罪の加害者の側に立って何が悪いのか、と、筆者も彼の胸倉をつかみ返した。若かったのである。「覚えてますか、あのケンカ」「ああ、私の会社は傾きかけていてな。エロ本で儲けが出なければ倒産だったんだよ」「そうですか。そう言ってくれれば

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どこで何を、その1の1
2020年04月22日15:54

 車を降りるとゾクリと寒気がした。もう、とっくに春だ。こんなに寒いはずがない。これは不味い、風邪でも、と、そう思いながらも、パーキングから公園に向かった。風邪だと思うなら早く帰って寝たほうがいいのに、それが出来ない性分なのだ。 あまりに寒い

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 面白くはない。どんなに面白くないとしても、それに拘り過ぎれば、結果として視野は狭くなり、自分のことしか見えなくなる。それは、本当に面白くない。好き嫌い、賛成か反対かは別として、筆者の考えに興味のある人はいることだろう。そこも疑うと書くこと

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 筆者は子供に、どうして人は人を殺してはいけないのか、と尋ねられた時、こう答えてきた。「社会には不要な人は一人もいないし、役に立たない仕事は一つもない。みんな、今、この瞬間に必要なんだ。今、まさに生まれる子供だけではなく、病床にある人だって

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 また、今日も廃業の話を聞いた。近所の喫茶店は休業から廃業と貼り紙を変えた。コーヒーを飲む自由さえ奪われたのだ。誰に。それはいい。面白くもないので、面白くもなんともない個人的な話を書こう。それぐらいしか書くこともないのだし。 今から数十年も

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 つぶれて行くたくさんの店。それが資本主義なのだから仕方ないと言う人たちがいる。弱いものが消えるのは必然なんだと言うのだろう。それで社会は面白くなるのだろうか。 大手の居酒屋チェーンでも焼き鳥は食べることが出来る。ファミリーレストランでハン

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 囚人のような奴隷のような生活を強いられることに、人はどれぐらい耐えられるのだろうか。どうして、方法がたった一つしかなかったのか、どうして、意見はたった一つしかなかったのか。そんな面白くもない生活を強いられているので、いっそ、面白くもない話

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 暗い気分の時にこそ明るい話題を、と、そんなことを言う人がいるが、そんな強さが筆者にはない。面白くもない気分のときには、面白くもない話題しか思いつきもしない。 面白くないと言えば、エロ本を作っていた頃も面白くないことが多かった。好きなエロで

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 喫茶店がない。気分が変えられない。気分が落ち込んで行く。別に惜しい命でもないので、ここらで自ら生きることに終止符を打つのも、お洒落かもしれない。どうせ、人生はどん底なのだ。 そんな面白くもない世の中なので、面白くもない思い出を書こうかと思

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 ついに、昼間の喫茶店の全てが店を閉めた。行き場を失った。面白くもないので、面白くもないものしか書けないし、どうせ、こんなものも読まれてはいないのだろうから、読むに値しないものを書いてもいいだろう。 あれは四十年ほど前になるのだろうか。東京

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 面白くない日々がはじまった。面白くもないので、もう、本当につまらない愚痴を書こう。 いつも行く喫茶店が閉まった。いつもは「精神が弱い、明日にも死ぬかもしれない」と、言っていた人たちが、元気に「当然、命が大事だ」と、叫んでいる。 家にいられ

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 面白くもない毎日だから、いっそ、面白くもない話が、かえっていい、と、そう言ってくれた人もあるので、面白くもない話をしよう。 毎年、誰かが死んだ。自殺はもっとも多い死に方で、次が事故で、次が殺される。意外と病死は少なかった。その少ない病死も

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 面白いことなどない。面白いことの一つもないままに、何を求めて歩けばいいと言うのだろうか。分からないので、何を書いているのか分からないようなものを書こうかと思う。いつもなら、そうしたものは書くべきではないと言うところなのだが、面白いことの一

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 いろいろと面白くないので、面白くもないことを書いて行こうかと思う。 筆者がエロ業界に入り、本やビデオや雑誌などを作りはじめた頃には、数字でものを考えるなどという習慣はなかった。広告はもちろん、テレビ関係の人とか、同じ本や雑誌でも大手の出版

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 あの頃を知らない人には信じられないかもしれないが、街の書店にもエロ小説専用の棚があったほど、エロ小説は売れていたのだ。 今のBL小説と似ていたかもしれない。たくさんの小説があり、多くの小説は作家ではなく、タイトルや内容で売っていた。もちろ

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 つぶれた会社には、机と椅子以外、カーテンさえも残っていなかった。3LDKのテラス寄りの窓に背をもられさせて室内を見ると、ため息が漏れた。けっこう頑張っていたのだ。人間関係に亀裂が入らなければ営業としては決して苦しいものではなかったのだ。 

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 スケバンものの全盛期だったと記憶している。まあ、それは無茶な小説や映画が多くあった。テレビでは、少しまともなスケバン刑事なんてものもあった、それと同時代だったと思うが、このあたりの記憶も定かではない。 その小説は、そうしたスケバンものの一

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 小遣いとアルバイト代、さらに、昼飯代まで本代に代えた。こう書くと文学青年か苦学生だったように思えるが、本の大半がエロ本だったとなると、その印象も変わるかもしれない。 中学生の頃は近所の古書店。しかし、高校生になると、少し遠出が出来たので、

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 パーティ記事の情報があり、パーティの過去の開催データが載っていた。いつ、どこで、どんなパーティがあったとデータとして羅列してある。そして、その後に、唐突に小説のような告白のような記事が続くのだ。「こんなことをしていてはいけない。いつか、本

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 それは不思議な本だった。文庫サイズなのだが、全部で三十ページあるかないかの薄い本だった。写真はなく、挿絵もなく、表紙ごとホッチキスで中綴じしたような簡素な造りの本だった。 タイトルは確か「裏地図」だったと思うが、それはその本の編集者たちが

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 新書サイズのエロ小説というのが珍しかった。表紙は地味で、タイトルも決して仰々しいものではなかった。慎重にタイトルを読まなければエロ小説と気づかないかもしれない、そんな作りだったのだ。 気にいって、何度も読み直したはずなのに、ストーリーは覚

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