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2023年03月29日07:33

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「勢力」としての一向宗(浄土真宗)

井上鋭夫『一向一揆の研究』重さ1300グラムは、ようやく、いわゆる「加賀の一向一揆」と総称される一連の一揆の動きの章に入ったあたりだが、中断(あるいは半永久的)。飛ばし読みになったが、読んだのは500グラム分くらいか。

ということは、読んだのは主に、「浄土真宗の信徒らが北陸地方や近江などで集団としてどのように力を増していったか」だった。言い換えると、一向宗信徒が「勢力」になっていく動きだった。

「勢力」は歴史辞典にもその項目はない、ごく普通の言葉だが、今の僕には特有の重みをもつ。黒田俊雄『寺社勢力』と伊藤正敏『寺社勢力の中世』が念頭にあるから。(さらに『クアトロ・ラガッツィ 天正遣欧使節と世界帝国』や『ジャカルタ・メソッド』など分野として遠い本を読んだ時も、複数としての「勢力」(英語ならforces)が脳裏から離れなかった。)

勢力としての一向宗は、黒田氏や伊藤氏が言うときの「勢力」が、主に南都北嶺(具体的には比叡山延暦寺や奈良の春日大社・東大寺など)に代表される歴史と権威のある寺院や神社を指すのと違って、どちらも持たない浄土真宗の門徒らが次第に力を蓄え、「勢力」の一つとなり、加賀一国を一世紀以上も統治し、天下人・織田信長に10年間も抵抗し続けた(石山本願寺)。

その際、時代が「兵農分離」以前だった――これが重要だろう。古代以来、この時代まで、兵は農から出て両者は不可分だった(昭和の青年将校運動でも、兵農分離否定論者がいた)。また、「僧兵」もいたように僧侶も武装して互いに他の寺院を襲撃したり、焼き打ちしたり、武力抗争は絶えなかった(伊藤正敏氏の本などによる)。
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