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2023年03月11日21:58

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「伏流水」としての昭和維新運動

最近読了した本を、受けたインパクトの順に並べると、
1 末松太平『私の昭和史』(みすず書房、1963年2月第1刷)
2 藤田早苗『武器としての国際人権』(集英社新書、2022年12月第1刷)
(3と4は大差はないが、仮に)
3 山本芳久、NHK100分de名著『アリストテレス 二コマコス倫理学 人生の究極目的を問う』(2022年5月発行)
4 三鬼清一郎『大御所 徳川家康 幕藩体制はいかに確立したか』(中公新書、2019年10月発行)

1『私の昭和史』は「昭和史研究の必読文献」ともいえるだろう。昭和史と名のつく本の参考文献に挙げられることも多く、「ひょっとしたら読んだか、かつて持っていたかもしれない」という疑いがよぎったが、取り寄せたら未読だった。感想ないし、この本から得た教訓を一つ挙げると、「教科書に載っているような歴史的大事件は『氷山の一角』にすぎない。実在した歴史は、いくつもの名も知れぬ伏流水から成っているのだ」ということ。

こう思ったのは、冒頭近くだった。著者の末松氏の身近で進められていた大規模なクーデター計画が発覚し、知人が何人か逮捕拘束されたのだ。大規模というのは、歴史上有名な1936(昭和11)年の226事件が首都と近郊に限られたのに対し、これより何年も前の、未遂に終わった陸軍将校のクーデター計画(名前は出てこなかったと思う)は、著者の勤務する青森の第5連隊なども含む全国各地での「一斉蜂起」を計画していたから。

そしてこの本に226事件が出てくるのは、末尾近くになってからである。青森にいたため、末松氏自身は226事件には直接関与していなかったが、長年にわたる青年将校運動(ないし昭和維新運動)のリーダー的存在であったため、禁固4年の刑に服している(自身の裁判も含め出てくる軍内外関係者は、一般の裁判でなく全て軍隊内の「軍法会議」で裁かれたはずだが、筆者にとってあまりにも当然なためか、「軍法会議」という言葉はこの本に出てこない)。
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