空海への批判

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沖浦和光（おきうら・かずてる）氏の『天皇と賤民の国』である日本は、中国の儒教由来の＜貴・賤＞「貴・良・賤」の国民観・身分制の上に、仏教、特に密教を通じて持ち込まれたインド的な＜浄・穢＞観に基づく「聖・良・賤」が重なり、社会の底辺の被差別の民を含む身分制度が定着した。

沖浦氏は、国家権力と結びついた空海らの鎮護国家思想における、先住民・蝦夷への差別を挙げて、ブッダの思想にはなかったヒンドゥー的な差別観を持ち込んだとして、その密教思想を批判している。