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2023年01月10日01:40

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ラーゲリ、酒場、日本鉄道史

最近読んだ本:
1辺見じゅん『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫、単行本は1989年文藝春秋刊)
2−1『吉田類の酒場放浪記』(TBSサービス、2009年4月)と
2−2『吉田類の酒場放浪記 2杯目』(同上、2010年7月)
3−1老川慶喜『日本鉄道史 幕末明治篇』(中公新書、2014年5月)
3−2老川慶喜『日本鉄道史 大正・昭和戦前篇』(同上、2016年1月)
3−3老川慶喜『日本鉄道史 昭和戦後・平成篇』(2019年2月)

たった3つを並べただけで、分野も文字量も本のデザインもばらばら。
1辺見じゅんの『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』は、公開中の映画『ラーゲリより愛を込めて』の原作ノンフィクション。ソ連側の視点がほとんどないのは映画と同様だが、日本人捕虜の人間模様がより詳細に描かれている。例えば、ソ連側の仕掛けた日本人捕虜中の「民主化運動」による捕虜間の分断など。民主化運動の過激な活動家はたいてい、農村出身で入隊前は左翼思想などに無縁だった若者たち。一方、主人公で実在した山本幡男氏のように左翼運動の経験があったり、ロシア語に堪能だったり、ロシア文学に親しんだりした人物は、むしろスパイとして過酷な運命に遭うのが普通だった。(ソ連側のスパイとなった場合を除いて)

2の『酒場放浪記』を少しめくると、酒の本というより、むしろ「グルメの本だ!」と思う。酒なら家でも飲めるし、料理も自分で作ればいい。ただ、何十年と愛されてきた店の雰囲気と味は、真似できない

3『日本鉄道史』全3巻は、専門家による、路面電車や地下鉄等々も含めた日本の鉄道の通史。1や2と比べると、文字数が多くて退屈だが、(ところどころ飛ばしながら)読了。大半は淡々と事実を述べているようで、歴史の各時点で「日本の鉄道はどうあるべきか」、鉄道の専門家や経済人、政治家などが議論しつつ、その方向が決まり、現在があることが分かる。
 3巻目でいうと、「東海道新幹線の画期性と世界的な意義」について認識を新たにした。また国鉄民営化による功罪の中で、JR西日本が私鉄王国といわれた関西で、ライバルとしての私鉄各社のシェアを奪うことで業績を伸ばしたことを明確に指摘している(つまり、鉄道全体では発展していない)。さらにJR東海の中央新幹線について、著者はリニアモーターカーとすることには反対。そうすることで、日本全体の鉄道網の中で「中央新幹線だけが他の全ての路線と接続できない」ことの不利益が大きいという。むしろ中央新幹線を作るなら、在来型の新幹線にすべきだという。また他の在来型の新幹線についても、東北新幹線と東海道新幹線など、相互にまたがる場合は全ていったん東京で降り、乗り換えなくてはならない。これをJR各社の連携体制を構築することで、いちいち東京で乗り換えなくとも、日本各地の中核都市が直通で結ばれるようになり、東京一極集中の解消という長年の懸案解決にもつながると提言している。
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