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2022年11月21日01:14

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キツネと、タヌキと、高度成長

柄谷行人『力と交換様式』は、マルクス『資本論』冒頭の貨幣論を手掛かりに、生産様式の発展としてでなく、交換様式にあくまでもこだわることで、人類史・世界史を新たに再解釈しているが、当のマルクスは「哲学者たちは世界をさまざまに解釈してきたが、重要なのは世界を変えることだ」と言っていたはず。柄谷の言う交換様式の変化はこれからの世界を変える「力」になるのかどうか。それを判断するためには重点を再読する必要がありそうだ。

さて、このところ読みかじっているのは、新約聖書と初期キリスト教関連の本だが、最も興味を持って読んだのは、
1 内山節『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』(講談社新書、2007年11月)と、
2 森脇佳代子「阿波狸合戦と小松島」(『小松島の歴史と文化−阿波地域文化の特質−』(2021年3月)に所収)という論考だった。

1『キツネ』の著者の内山氏によると、日本人が1965年頃以降キツネにだまされなくなったのは、「この頃に日本人が変わってしまったから」である。この年は東京オリンピックの翌年で、高度経済成長の真っただ中である。「この時代の社会の変化や経済の発展の中で、日本人の精神、メンタリティも変わった」ーーこのことが日本人がキツネにだまされなくなった要因であると。
 読みながらこの説に説得力を感じたが、説得力の源は、一年の半分を群馬県の山村の8世帯しかいない集落で暮らす著者ならではの世界観・歴史観・日本人観だろう。これらを支えるのは、太古から高度成長の頃まで田舎の村で暮らしてきた人々の自然観・世界観への共感力・想像力である。
ーーこの論旨を再現するには文字数を要するので、別の機会に譲る。

2の森脇氏の論考についても改めて。
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