朝ドラで入院患者の病室のシーンを見て若干の違和感があった。ベッドを覆う掛布団の全体が純白。――そのことに違和感があった。
ある時期まで、日本の病院では入院患者の寝具類は医療として見なされなかったから、全ての入院患者は自宅からの、ないし新たに購入した寝具一式を持ち込んでいた。費用がかかるし、患者間の貧富の差が露骨に表れるなどの問題点を踏まえ、寝具類も医療費にカバーされるようになり、患者が寝具類を買う必要はなくなった。――これは20年余り前、僕がある大企業のPR誌の仕事をしていた時、洗濯機械の納入先の洗濯工場を取材して知ったことである。
朝ドラの場面は昭和20年代で、寝具類が医療保険にカバーされる前のはず。だから、現代と同じなのは変だ。だが、朝ドラは大河ドラマほど時代考証に厳密でなくてよいだろうし、リアリズムに徹して朝から所帯じみた小汚い布団を見せたりしない方が好ましいだろう。
――上記のような入院時の布団事情をリアルタイムで知っているのは、80代か90代以上ではないか。
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