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2018年08月31日23:26

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三島由紀夫事件と「治安出動」

既につぶやきに書いたことだが、改めて整理したい。
保坂正康『三島由紀夫と楯の会事件』は「楯の会主宰者としての三島」を描ききった力作。ちくま文庫に入ったのは今年だが、原本は1980年に出たもの。この本は、「三島事件」ないし「楯の会事件」と呼ばれる1970年11月25日に起きた、三島ら2人が東京・市ケ谷の自衛隊駐屯地で割腹自殺した事件よりも、「生前の三島と楯の会の活動」に紙数の大半を費やしており、そのことに意義がある。

僕がこの本を読みながら最も気になったのは、三島と楯の会有志が1968〜69年に「自衛隊中堅幹部から街頭で私服での軍事訓練を受けていた」ことが、何の注釈も補足もなく淡々と記されていたことだった。「自衛隊はそんなことをしていいのか」「違法ではないのか」と、素朴に思った次第。いま改めてこの本をめくると、三島らが自衛隊に体験入隊した際に指導に当たった情報将校の山本舜勝氏が著書に書いているという(この本は蔵書を処分する前に持っていたかもしれないが、内容には記憶がない)。

さて、自衛隊について関係者に聞くことも、改めて勉強することも、自衛隊法の条文を読むこともないまま、素人ながら自分なりに考えてみた。
1. 対民間人:自衛隊には恐らく国民、一般社会のより深い理解を得るため、広報活動の一環として民間人の「体験入隊」という制度があり、この制度は受け入れられている。恐らく「民間人に軍事訓練を施す」こと自体は体験入隊の形を取らずとも問題はなく、合法なのだろうと推測する。街頭で私服での訓練を受けたのは、全て体験入隊の経験者に限られていた。
2. 治安出動:自衛隊法には、「自衛隊の行動」(任務・活動)の一つとして、総理大臣の命令または都道府県知事の要請により、警察力を超える力に対する治安維持活動を行うと規定されており、1968〜69年当時、「自衛隊は治安出動を想定した訓練」を行っていた。自衛隊は実際には発足当初より現在まで一度も治安出動したことはないが、60年安保や新宿騒乱などに際して「治安出動を想定した態勢」を取っていた。
3. 街頭訓練:迷彩服など戦闘服姿の隊員らが市中を行軍・訓練している様子を時折テレビのニュースで見るが、「私服姿での街頭訓練も禁じられていないのだろう」と推測する。既に体験入隊を経た三島と楯の会有志は、山本氏の指導の下に市街地に繰り出し、情報活動などを行った。三島はサングラスに付け髭で出版社に現れたとか(その変装に気づいた人が噴き出した、とは書かれていない)。戦争は、実際の戦闘は、どこで起きるかわからないのだから、自衛隊や防衛省の敷地内や専用の訓練場での訓練だけで十分とは言えないだろう。



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