mixiユーザー(id:7131895)

2018年08月29日15:17

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「戦争文化」

最近買った二冊から。共にまず興味を惹かれた部分のみ読んだ。

海老坂武『戦争文化と愛国心 非戦を考える』(みすず書房)は今年3月に出た本。著者は1934年生まれで、戦時中は「国民学校」に通った世代。
「戦争文化」という言葉は、著者によると以前から加藤周一が言った例などがあるが、日本ではまだ一般になじみがない。恐らく欧米などでも相当する言葉は同様かと思われるが、「戦争文化論」は、戦争を従来のように推進する「権力」の側からでなく、「支える主体としての国民、民衆」の側に重点を置いて捉える。
著者が無視できない論として取り上げているイスラエルのマーチン・ファン・クレフェルトは、クラウゼヴィッツをはじめとする従来の戦争論が拠って立つ、戦争を「敵対する相手を戦闘での暴力により無力化するもの」とする、合理性の立場に反対する。そうではなく、クレフェルトは「戦争自体に強烈な魅力があり、そこから戦争を取り巻く文化が育った」と考える。(この考えは今後要検討)
海老坂氏の論は、副題が示すように反戦・非戦の思想家たちに向かうが、僕自身の興味は当面「戦争文化」の方にある。

一方、井上寿一『日中戦争 前線と銃後』は今年7月に講談社学術文庫に入ったが、原本は2007年の本。著者は1956年生まれの学者。こちらは、戦時中の資料を精査して、日中戦争の「総力戦体制」下に「前線でも銃後の農村や都市、産業社会でも『民主化や格差是正が進んだ』」!!ことを明らかにしている点で、画期的かもしれない。非常に興味深い。農村では小作農と地主の格差縮小の動きが進み、戦後の農地解放につながり、戦後、小作農が自作農化して持てる者に転化したことで、保守勢力として自民党の支持基盤になったことも指摘している。



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