mixiユーザー(id:7131895)

2015年10月11日21:25

203 view

ペリーの予見

『ペリー提督日本遠征記 上・下』をやっとこさ読了した。電車の中などでちびちび読んでいたので時間がかかった。

ペリーは海軍一家に育った生粋の職業軍人で既に海軍高官に栄達していたが、アメリカ国家にとって必要となった、補給基地確保等のため日本を開国させ条約を結ぶという仕事に担ぎ出された。

マクロな世界史的状況としては、大国のイギリスやロシアなど歴史ある帝国をはじめとする、日本に迫ろうとする列強との「太平洋の覇権」をめぐるレースで、「日本開国の一番乗りを自分がしなければ」というドライブがあった。

生粋の軍人だが、有能な政治家であり、外交官だったと言えるのだろう。また、当時の有能な軍人は皆そうだったかもしれないが、同時にいわば博物学者、地理学者、人類学者等々でもあった。

――そのペリーは、幕末期の一般の日本人を高く評価している。日本の職人の熟達の技をほめた後で次のように記している。

<政府の排外政策が緩和すれば、他の国民の物質的進歩の成果を学ぼうとする好奇心、それを自らの用途に適用する心がまえによって、日本人はまもなく最も恵まれた国々の水準に達するだろう。>

この予言は的中し、日本が欧米以外で最も早く近代化、工業化を達成したのは周知の通り。

ペリーに戻ると、彼は軍人だったにもかかわらず、列強の中で最も若いアメリカは、「戦争を仕掛け、敗戦国を植民地化する」という先進帝国主義国家の常套手段を取らず、粘り強い外交交渉によって日本の開国を実現した。






6 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年10月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

最近の日記