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2017年08月21日05:36

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「土偶」の意味するもの

『土偶界へようこそ 縄文の美の宇宙』(譽田亜紀子[こんだあきこ]、山川出版社、2017年6月)を読んだ。読んだと言っても、文章は写真へのキャプション的な短文に限られ、ビジュアルの割合が大きい「土偶入門」の書。(この本への新聞等の書評を受けて、新刊書店や出版界は土偶や縄文時代のブーム到来を待ち構えているか)

縄文時代は今から約1万5000年前に始まり、1万年以上続いたとされている。土偶はこの「縄文時代に土で焼かれた人形(ひとがた)の焼き物」で、沖縄を除く日本列島各地で発掘されている(でも、なぜ沖縄から見つかっていないのか?)。見つかっている約2万点の大半が体の一部のみ。完全な形の土偶は珍しい。

その理由は、「堆積した土の重みで壊れたという説」や、「病気治癒の祈りを捧げる際の道具として使用した時に、あえて壊されたのだとする説」などさまざま。

縄文時代より後の古墳時代に作られた「埴輪」が、古墳に埋葬された「支配者の副葬品」だったのに対して、土偶は「祈り」のためのもの。土偶のほとんどは、墓場ではなく、生活に不要となったものが廃棄された「捨て場」や、住居跡、貝塚などから発見されている。土偶は人々が「生きるため、生活の中で」用いられた。

土偶が作られた理由は、「漁労、採集、狩猟など食糧確保の成功」「病気治癒」「安産、命の再生」の祈願であり、土偶はその道具だったと考えられている。

人は日々の営みの中で「人形(ひとがた)=偶像を介して祈る」! 土偶はその日本版のうち最古のものだろう。

これは、人類学的にかなりの程度に普遍的だろう。(偶像崇拝を禁じたユダヤ教・キリスト教・イスラム教という巨大な例外、対抗勢力をにらみつつだが、キリスト教の中にはキリスト像やマリア像、さまざまな聖人の像の崇拝という偶像崇拝が息づいている。)



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