以下は最近読んだ本、雑誌、新聞から
1 養老孟子・池田清彦『ほんとうの環境問題』(新潮社、2008年3月)
2 小田嶋隆『東京四次元紀行』(イースト・プレス、2022年6月)
3 『文藝春秋』2022年10月号 特集「統一教会と創価学会」
4 東京新聞2022年9月27日「論説委員が聞く」
1は古い本だが、僕には刺激的な指摘・提言もあった。冒頭の養老氏の文からハッとした箇所を引くと――。
・環境問題はアメリカ文明の問題。アメリカ文明とは石油文明。古代文明は木材文明、産業革命時のイギリスは石炭文明だった。1901年にテキサスから大量の石油が出て、1903年にはフォードの大衆車のアイデアが登場した。アメリカ以外のヨーロッパでも、中国でも、インドでも、古い文明には「文明は石油なしでも作れる」という考えが頭にあったから鈍かった。
・ヒトラーがソ連に侵入した理由は、歴史の本を読んでも分からないが、答えは簡単で、コーカサスの石油が欲しかったから。
2の著者は、今年6月に急死した1956年、東京赤羽生まれのコラムニスト。帯には「稀代のコラムニスト」とあるが、僕はほとんど読んでいなかった。この本は小田嶋氏の最初の小説集で、遺作となった。約300ページのうち冒頭から3分の2弱を東京23区の各区名が副題になった短編小説が占め、この部分を読んだ。こうした趣向に、僕はある種の「東京論」を期待し、一部にそんな面もあるが、各章=各短編に1人以上数人までの人物が登場する。あくまで短編小説集である。一部に複数の章に登場する人物もいて、大半は若い多様な人物がそれぞれのドラマを織りなす。――この本は、東京23区が舞台の「グランドホテル」なのだろう。言い換えれば、東京は巨大な、人口1400万人のグランドホテルである。
(3、4は追って)
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