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2022年07月09日11:07

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原発、沖縄、ウクライナ(1)

(昨日は安倍晋三元首相の射殺という大きな事件があったが、それは措いて…)

この間に読了した順に挙げると――
1 山本義隆『福島の原発事故をめぐって』(2011年8月刊)
2 宮沢和史『沖縄のことを聞かせてください』(2022年5月刊)
3 佐藤優『プーチンの野望』(2022年6月刊)

1の山本義隆は知る人ぞ知る、東大で物理学の博士課程在学中に起きた東大紛争で全共闘議長となった人。大学を離れてしばらく後からは駿台予備校講師のかたわら、物理や数学の教科書のほか、物理学史や科学史・科学哲学の大著を何冊も上梓している。著者は原発の専門家ではないが、この小冊子にはそうしたバックボーンに支えられて、人類が生み出した原発とは「どんなものであり、いかに危険なものか」のエッセンスを述べている。

20世紀の初めに物理学者が発見した原子力(正確には「核力」)のすさまじい破壊力を兵器とする競争に、何が何でも一番乗りになるためにアメリカは第二次大戦のさなか、密かに原子爆弾の開発を進めて成功。そのオマケが原発という「平和利用」。ただ実験室レベルでの成功から、発電のための民生用技術の実用化までには膨大な工程や部品や施設や等々があり、これらの物理でなく「工学」に属する事象は実験ができず、コンピュータでの計算によるシミュレーションしかできない。ところが、そのシミュレーションをするのは現場の部品や配管のことは無知に等しい人間たちである。専門家によると、原発は「配管のお化け」である。個々の部品がどのように劣化、故障するか、作業員が施工を誤らないか…そんなことまで完全には分からない。

さらに原発から出る「放射性廃棄物の処理」という難題の解決策は見つかっていないに等しく、コストも不明。半減期に何万年もかかる放射性廃棄物を地中深く半永久的に貯蔵するにしても、その数万年の間に地上や地中で何が起きるかは誰にも分からない。コストも分からない。「人類の子孫が何とかしてくれるだろう」という希望的(絶望的?)観測があるだけ。――宮崎駿『風の谷のナウシカ』の世界を連想する。…だから著者は原発反対。廃止に向けて動き出すべきだ、と。
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