mixiユーザー(id:7131895)

2022年01月01日12:24

216 view

4つの歴史:遊廓、西域、西部、満州(下)

『幻の村―哀史・満蒙開拓』の著者・手塚孝典氏は信越放送のディレクター。長野県は全国で満州への移民を最も多く送り出した歴史があり、その送り出した側の自治体や関与した人物らを取材。ドキュメンタリー番組制作に続いて本書が生まれた。

中でも1940年に36歳で旧・河野村の村長になり、1946年に自裁した胡桃沢盛(くるみざわ・もり)氏の生涯に焦点が当てられる。率先して国策に応じ、数百名の村民を送り出した優等生的な村の若き村長だったが、敗戦に際してのソ連軍侵攻によりその多くが自決した。若い母親らがまず子供たちを殺した後で自死したケースが多かったという。村長は戦後そうした知らせを受けて悩み、自責の念から自らも命を絶ったとみられている。

傀儡国家・満州国の支配を固めるため、日本政府は満州への500万人移民計画を立てた。もともと3000万人の中国人が住んでいた地であったが。具体的には、耕地面積に対して人口が過剰な村を「分村」して、一部村民を満州へ送ったり、少年義勇軍を募集したりという政策によって。これらは法律や閣議決定によって進められた。この「閣議決定」という言葉は、僕には安倍内閣での解釈改憲のニュース以来、久しぶりに生々しくリアルに感じられた。村長は国を信じ、進んで国策に応じたが、国策の失敗の責任追及を自分自身にしてしまった。一方、そもそもの政策を決定、遂行した政府当局者の責任追及はほとんどなされず、敗戦直後の首相が発した「一億総懺悔」が世を覆ってしまったのが、日本の現実だったのではないか。
4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する