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2021年11月28日15:31

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21世紀のアナキズム

岡山大学の松下圭一郎准教授による『くらしのアナキズム』は、バクーニン、プルードン、クロポトキンなど19世紀の思想家・革命家に焦点を当てる従来の思想史的なアプローチとは異なる、もう一つのアナキズム(無政府主義)というべき新たな思潮・運動を紹介、提言している。

松下氏が影響を受けたのは、同氏と同じく文化人類学者であり、アナキストであったデヴィッド・グレーバー(David Graeber、1961-1920)であり、グレーバーは100年ほど前に『贈与論』を著したマルセル・モースの考えを源流としている。

グレーバーや松下氏がアナキズムを標榜するのは、専門分野である文化人類学の対象が、そこで暮らす人々が国家とはほとんど無縁で一生を過ごすような社会であることが大きい。また、モースが生きた19世紀末から20世紀前半は国家が社会の隅々に浸透していく時代だったのと対照的に、21世紀の現代では国家は公共領域から撤退しつつある。日本でも国鉄や郵政、電電公社などが民営化され、図書館や児童館まで民間業者に委託されている。

こうした中で松下氏は「21世紀のアナキストは政府の転覆を謀る必要はない。自助を掲げ、自粛に頼る政府のもとで、ぼくらは現にアナキストとして生きている」とする。その事例として、同氏の故郷を襲った熊本地震の後に、政府も自治体もなすすべなく、手をこまねいていた状況で、住民たちが自発的に助け合っていたことなどを挙げている。
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