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2022年07月03日17:22

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昭和史に学ぶ(4):「大正デモクラシー」から「昭和の超国家主義」へ(続き)

筒井清忠氏によると、(昭和初期の)都会で「立身出世」を夢みた青年が挫折したとき、故郷の農村で出会った都会的・合理的なものを超克しようとする行者的リーダーに率いられた土俗的宗教団と運動に出会う――こうした現象は当時の日本社会に遍在化しており、当時の大学生を中心としたマルクス主義の運動がついに吸収しきれなかったもの。「農村→都会(挫折)→農村」という循環が一つの融合を生んでいた。このプレモダンに乗っかったポストモダンの非合理性は、丸山真男らモダンによる分析が難しかった。

大正末期から昭和初期にかけて、初期の大衆社会化状況が進む中、さまざまな形で挫折して孤立した個人が、救済願望を抱いたとき、血盟団的なものが台頭する芽が広く潜在化していた。そうした中で、日蓮宗のような伝統的な宗教の中から、神秘的な要素が再発見・再解釈されていった。――その意味では、政治的なテロ事件の実行者らの軌跡は、一種の宗教的救済運動ともみられる面がある。

下層庶民型のナショナルなテロリズムの再検討には、彼らの置かれている「あるべき幸福からしめだされているものの悲哀」(橋川文三からの鶴見俊輔の引用)ともいうべき「不幸な状況」の理解が必要。
 
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