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2022年05月17日00:42

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電信・鉄道と帝国主義:近代日本150年その5

近代科学技術の輸入と発展、特に電信網と鉄道路線の敷設は、国民統合と国内市場統一の推進にとどまらず、日本のアジア侵略に大きな役割を果たした。

初期の電信線架設工事に携わった工部大学校の外国人教師ダイヤ―は、1877年の西南戦争で電信線の敷設と活用が政府軍の戦いを有利にしたことを目撃、記録している。また、鉄道の建設にも、政治的・軍事的理由が大きかったと指摘している。

国内平定に向けられていた軍事力が対外進出のためのものに変貌するとともに、電信網や鉄道路線の拡張も、統一国家形成のためのものから、アジア進出のためのものへと変貌していく。1882年の壬午軍乱の後、日本政府は外国の会社に委託して九州〜釜山間の電信線を敷設。その後、朝鮮半島を縦貫して満洲へと伸びていく。

国内の鉄道は、日清戦争当時は広島が日本縦貫鉄道の終点だったこともあって、大本営が広島に置かれた。日清戦争の勝利以後、日本は朝鮮への支配を拡大していくが、朝鮮支配の中枢は鉄道の敷設にあった。
 現代韓国の研究者・鄭在貞はこう述べている。
<日本は京釜・京義鉄道(注:釜山からソウルを経て中国国境まで)を韓国と大陸を侵略する兵站路線と認識していたため、停車場が軍隊の駐屯地であり、出発地であることを望んだ。そればかりか、停車場が日本人商人と農民の集団居住地となって政治的・経済的に韓国を制圧する前哨基地となるよう構想した。(中略)
朝鮮半島を南北に縦貫する京釜線と京義線……は韓国の政治・経済・文化の中心を貫くだけでなく、日本と満州を時間的・空間的に最大限に近づける核心的動脈だった>
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