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2023年05月04日19:26

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トランスジェンダー、囚人道路、東南海地震(その1)

最近読了した本(順不同、読みかけは除く):
1 ショーン・フェイ著・高井ゆと里訳『トランスジェンダー問題 議論は正義のために』(明石書店、2022年9月30日 初版第一刷発行)
2 プレシアド著・藤本一勇訳『あなたがたに話す私はモンスター 精神分析アカデミーへの報告』(法政大学出版局、2022年11月25日 初版第一刷発行)
3 諸橋憲一郎『オスとは何で、メスとは何か? 「生スペクトラム」という最前線』(NHK出版新書、2022年10月10日 第一刷発行)
4 安部譲二『囚人道路』(講談社、1993月6月25日 第一刷発行)
5 養老孟子・藻谷浩介『日本の進む道 成長とは何だったのか』(毎日新聞出版、2023年3月30日発行)

1の『トランスジェンダー問題』は431ページと最も分厚く、著者がイギリス人のため内容の大半がイギリスの事例、問題であるため、スラスラとは読めなかった。著者は元々生物学的には男性だったトランス(ジェンダー)女性という当事者でもあるが、内容は主にイギリスでのトランスの人々を取り巻く、医学・保健衛生、職業などの経済、家族や隣人等との関係、被害者および容疑者・被告としての犯罪、警察や刑罰・移民収容施設など国家権力、好意的および敵対的メディアによる扱い、人種・民族的差別の問題、LGBTQ運動での対立を含む諸関係など広範囲に及ぶ。改めて単純化すると、トランスにとっての医学的、精神的、社会的、経済的、政治的問題を総覧している。――恐らく、現時点までに出た本の中でトランスジェンダーという問題に最も包括的に取り組んだ本だろう。

そもそもの基本を確認しておくと、LGBTと一括して呼ばれる中で、レスビアン(L)とゲイ(G)とバイセクシュアル(B)は性欲(ないし恋愛)の対象をめぐるのに対し、トランス(T)だけは自分自身の性への認識を巡る概念であり、性欲の対象とは無関係である。ただ、どの社会でも、さらにLGBTの中でさえも少数派であり、悩み苦しみながら育ち、さまざまな差別を受け、経済的にも恵まれないことが大半である。――これらは、著者からみて政治とも深く関わる問題である。

――だから、トランスジェンダーについて、単なる知識欲や下種な興味本位から読み始めると、目を覚まされる。日本でも、今後もっと真剣に取り組まれるべきだろう。
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