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2019年03月17日11:10

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鉱物進化論

ブルーバックス『地球進化46億年の物語』を読んだ。
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すごい本だと思う。著者のロバート・ヘイゼンはアメリカ人。日本語ウィキには項目がなく、英語ウィキの冒頭によると、1948年11月1日生まれの鉱物学者・宇宙生物学者。

「鉱物進化論」という言葉はほとんど出てこないが、この本や著者の考えを最も端的に表現する、かつインパクトがある言葉だと思う。鉱物と生物は、相互に影響をし合う共進化をしてきた、と言ってもよい。

この本に盛り込まれた科学上の知見を挙げればきりがないが、これまでの常識や定説を覆すものにあふれている。例えば地球地球の水は、人類が知っている海洋などの少なくとも数十倍は地中深くに含まれている。ただし、その水分は通常の水ではなく、超高圧・超高温で鉱物の中に含まれているという。また石油の原料は生物由来というのが定説だが、無機物にも由来するという理論もあり、ロシアの学者はこの説を採っているという。等々等

監訳者は、この本は自然科学のパラダイム転換を促す画期性を持つ本だとして、ダーウィン『種の起源』やウェゲナー『大陸と海洋の起源』になぞらえている。

僕のような素人だけでなく、著者や監訳者が若手研究者だった頃の鉱物学は、スタティックで面白みに欠けていた。著者が大学院生の頃に当時、学界の権威だった教授から与えられた課題は、鉱物・岩石を採集し、それらの標本を精緻にスケッチすることだった。

ところがその後、プレートテクトニクス理論や、地球地球史上のスノーボール=全球凍結説など、地球を巡る数々の魅力的かつ説得力ある新説が古い常識や定説を書き換えていく。

こうした中で、著者は、岩石などの鉱物も地球史のある時点で生まれ、生物と互いに影響し合いつつ生成変化を遂げてきた、という立場から46億年に及ぶ地球史を捉え直してみせた。この本はその成果を一般人にも分かるように示している。
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