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2018年07月01日21:56

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ラテンアメリカの3類型

清水透『ラテンアメリカ五百年』(岩波現代文庫)は、「先住民社会」と「ヨーロッパ人征服者」の関係性を軸に、ラテンアメリカを3つの場に類型化している。
1. 先住民社会の存在を大前提として植民地社会が成立した空間=メキシコや大半の中米諸国、アンデス地域の国々。
2. 19世紀後半に南イタリアやドイツといった「ヨーロッパからの大量の移民」を導入することで社会の再編が達成された場=アルゼンチン、ウルグアイ、チリなど。ここではメキシコなどと異なり、大規模な先住民社会が存在せず、大銀山も発見されなかった。
3. 征服以前に住んでいた先住民が一掃され、ほぼ完全に外来の人々を中心に社会が成立する、人類史の中でも極めて特異な空間=カリブ海地域。コロンブス一行の到来した1492年からの半世紀で、砂金開発の重労働、ヨーロッパからもたらされた疫病の蔓延、征服者による食料の収奪等により、「絶滅の危機に瀕した先住民は、生き延びても島伝いに逃げたり、大陸の沿岸部に逃げ延びたりし」、征服者たちは利用できる労働力を短期間で失った。そこで「西アフリカからの大量の黒人奴隷」が導入された。
4. ブラジルは以上3つの類型に収まらない。先住民たちがどんどん広大なアマゾンのジャングルに逃げ込んでいったため、それを補う大量の黒人奴隷が導入されたが、アマゾンという膨大な未征服空間も抱え続けた。2と3の特徴を併せ持つ。





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