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2022年11月23日23:27

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既製服革命?

「既製服革命」とは造語だが、このところ僕の頭をよくかすめることを言葉にすれば、こうなりそうだ。

図書館で借りて返した『裂織の本』を改めて自前で買った。「もう着なくなった古着を小さく切り、横糸代わりにして経糸でつなぐ」裂き織は、今も手芸の一分野として残っているが、日本の衣類の歴史上、木綿がまだ希少だった江戸前期頃には広く普及していたと考えられている。

この本を含めて、手元にある(多くは最近入手した)<日本の衣服の歴史>に関わる本を、主に扱う時代順に並べると、
1 永原慶二『苧麻・絹・木綿の社会史』
2 柳田國男『木綿以前の事』
3 八田尚子『裂織の本』
4 愛媛県歴史文化博物館『佐多岬半島と西日本の裂織』
5 山川菊栄『わが住む村』『武家の女性』など
6 アンドルー・ゴードン『ミシンと日本の近代』

どれも興味深いが、ろくに読めてないのが多い。
「苧麻」は「ちょま」と読み、最も古くからあった。日本に自生する植物を原料に、繊維を細く裂いて撚り、糸として縫った布を意味する。これに対し絹は古代、木綿は中世以降に中国・朝鮮から製品が移入され、やがて栽培や蚕の飼養、製糸をはじめとする加工、利用が行われるようになった。
 5や6では、「衣類を縫い繕うこと」が日本女性の「家事の大きな部分」を占めてきたことが示されている――古い小説などからもうかがわれる。
 6はミシン、特にアメリカのシンガー社や日本メーカーのミシンが日本中の家庭を席巻し、「消費者」の創造に力があったことを論証している。

――ところが、僕の一番の関心、既製服が日本国民を圧倒的に「征服」した(それまで既製服市場はなかったのだから「市場を席巻した」というのはおかしい)、その有様、意義等については、まだ本格的な本は出てなさそうなのだ。既製服は、ミシンよりもはるかに「市場を創造した」と思われる。6の本が出たのが、既製服がミシンを凌駕したはるか後だったように、「既製服革命」の本が出るのはまだまだ先かも知れない。(ネット検索で、経済史の一分野として論文がいくつか出ていることは承知している)



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