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2019年06月05日07:42

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二つのファシズム論

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佐藤卓己『ファシスト的公共性』はまだ途中だが、しばらく前に読んだ吉見義明『草の根のファシズム』とは対照的なので書きとめておく。

後者はタイトルにもかかわらず、「ファシズムとは何か」について一言も説明がない! タイトルは、総力戦体制を支えた日本国民を指す。著者の吉見氏は1946年生まれで、東大国史学科卒だが、吉見氏やいわゆる戦後民主主義者にとって、ファシズムとは絶対悪であり、罵倒語でもあったろう。初版は1987年。

これに対して『ファシスト的公共性』と、敢えて極めて挑発的なタイトルをつけた佐藤氏は1960年生まれ、京大西洋史卒で、専攻はメディア史。本として出たのは去年だが、このテーマを追究して30年ほどになる。

この本では、一見相容れないナチスドイツのプロパガンダと米ニューディール下のマス・コミュニケーションの相互影響と近縁性、両者から日本の戦前戦中の情報統制への影響、日本メディアの戦中戦後の連続性など、従来の定説的認識を覆す多くの知見が展開されている。
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