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2018年01月27日03:37

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自衛隊に「軍法会議」がなくてよいのか?


霞信彦『軍法会議のない「軍隊」』(慶應義塾大学出版会)という本を読んだ。きっかけは新聞の読書欄の片隅の小さな書評記事だが、気になって求めた。

軍法会議とは、軍隊内の裁判制度。世界中のどの国でも、近代的軍隊には、その内部に一般社会の司法制度とは別の司法制度として、軍法と軍法会議があり、日本にも明治から1945年の敗戦までは陸海軍内にそれぞれあった。軍に一般社会とは別の法規と裁判体系が設けられている理由は、「大量殺傷・破壊の実行能力と法的権限」のある軍隊という巨大集団の特性と、戦闘行為を継続する(可能性がある)という特性に基づく「迅速な裁判処理の必要性」によると考えられている。

さて自衛隊はというと、いかに世界有数の兵力・装備があっても、法的には「軍」ではないから、軍法会議はもとより、これに相当する法律もない。また日本国憲法も、軍法を含む一般法とは別の特別法を禁じている。

著者は戦前の日本の軍法制の専門家で、この本自体も日本に陸海軍法と軍法会議があった時代にページの大半が割かれているが、著者が気にかけているのは当然ながら現にある自衛隊だ。巨大兵力を持つ集団の指揮を執る自衛隊のトップ・幹部を縛る正規の法律は本当に必要ないのか? 僕自身も含め多くの日本人は考えたこともなかったことだが、政治家や法律の専門家も含め重く大きな問いを突き付けられている。




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