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2015年04月27日00:47

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細雪、ミナミゾウアザラシ

今更ながら、谷崎潤一郎の『細雪』を読了。

読むきっかけは、NHKが定時ニュースやクローズアップ現代で谷崎を取り上げていたこと。

1983年制作の映画化作品は見た覚えがあるが、なぜか三女・雪子役の吉永小百合の印象が薄い。(雪子はストーリーの中心に位置するのに、岸恵子、佐久間良子、古手川祐子という他の3人の姉妹役のほうが印象がある)

美人だが消極的な性格で、数ある見合話も選り好みをしているうち、行き遅れて30歳を過ぎてしまった雪子のいくつもの縁談を軸に、「恋多き女」の四女の行状、長女と次女の婿の性格等々のディテールがこれでもかとばかり積み重ねられていく…。

(描かれる時代は主に昭和10年前後の数年間だから、さまざまな事件が起こっているが、物語と主な登場人物には大きな影響は及ぼさない)

読みながら思い出したのは、三島由紀夫が小説(ないし芸術作品)の理想として、動物園にいる巨大な「ミナミゾウアザラシ」を挙げていたこと。

あたかも作家によって制作される以前からずっと存在していたかのように、「制作行為」の苦労など感じさせず、作品がいわば「存在そのもの」としてあるように見えること。
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