時間と空間が現実とリンク『名探偵コナン 百万ドルの五稜星』

東宝のドル箱シリーズ、「名探偵コナン」の劇場版第２７作『名探偵コナン 百万ドルの五稜星』を見て来ました。

函館が唯一の舞台となり、街自体に重要な仕掛けがあるなど、単なる設定を超えた地域密着型の映画となっています。函館が舞台の映画は数多いですが、アニメーション映画でここまで描き込んだ地方都市というのは珍しいです。

地元民としては、盛り上がってくれて何より。
観光地以外の場所にも焦点が当てられているので、出身者なら楽しさも倍増です。

【物語】
北海道、函館市。
富豪の所蔵庫から、土方歳三ゆかりの日本刀が盗まれた。犯人は、コナン（声：高山みなみ）の好敵手でもある怪盗キッド（声：山口勝平）であり、西の高校生探偵こと服部平次（声：堀川りょう）の因縁の相手でもあった。日本刀を狙う武器商人も争奪戦に加わる中、コナンたちは、日本刀に秘められた重大な秘密に迫っていく。

…２重３重に入り組んだ複雑な謎や登場人物、そこに平次と和葉の恋愛模様も絡みあい、少々盛り込み過ぎた感はあるものの、年に一度のお祭り映画としては充分に楽しめました。

現職の函館市長の弟でもある大泉洋が脇役で出演していますが、大泉洋ほどのスターが脇に留まるはずもなく…というのもちょっとしたミソです。

黒の組織との全面対決が描かれた前作とは異なり、『から紅の恋歌』以来の和風テイストで、緊張感の高かった最近のシリーズ作品の中では、ちょっと一息つける仕上がりの作品でした。

作中で描かれる、桜が満開の五稜郭公園が、時期的にも実際の満開時期とリンクする、絶妙なタイミングでのロードショーとなりました。★★★★。