非常に寡作で知られるスペインの奇才監督、ビクトル・エリセの31年ぶりの最新作『瞳をとじて』を見て来ました。
2時間49分の大作ですが、すーっと入ってくるような、不思議な映画です。
映画へのレクイエムのようなものも感じられます。
【物語】
2012年。もと映画監督で今は作家のミゲル(マノロ・ソロ)は、かつての人気俳優フリオ(ホセ・コロナド)に関するインタビューを受けた。フリオは20年前の映画撮影中に失踪しており、映画は未完のままであった。
撮影途中のままだった映画のフイルムを見たり、昔の映画仲間を訪れて過去と向き合うミゲルのもとに、フリオ発見の知らせが届く。
…劇中の映画のシーンはフイルムで(16ミリ?)、現在(2012年)はデジタルで、と分けられている撮影技法が効果的。フイルム撮影の生々しさが際立ち、強く記憶に残ります。消えゆく映画フイルムに言及するシーンもあって、ビクトル・エリセの遺言のようにも感じました。
映画の結末をどう捉えるかは観客に委ねられています。
滅びゆく映画文化への鎮魂歌のようでもあり、映画に生きた2人の男の再生の物語のようでもあります。
★★★★。映画を見るすべての人に問いかけてくるような映画です。
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