ウディ・アレン久々の脚本・監督作となる映画『サン・セバスチャンへ、ようこそ』を見て来ました。
往年のヨーロッパ映画への愛情あふれる作品です。
【物語】
大学で映画を教えるモート（ｳｫｰﾚｽ･ｼｮｰﾝ）は、映画業界でパブリシティの仕事をしている妻（ｼﾞｰﾅ･ｶﾞｰｼｮﾝ）に同行して、スペインで開催される映画祭へやって来る。妻は、クライアントであるフランス人映画監督に夢中だった。
疎外感から来るストレスで心身に異常を感じたモートは、友人の紹介で現地の診療所へ。そこで出会った女医（ｴﾚﾅ･ｱﾅﾔ）に惹かれていくが…。
…もう少し若ければウディ・アレン本人が演じたであろう大学教授を、アレン映画の常連であるウォーレス・ショーンが演じておりますが、妻役のジーナ・ガーションと釣り合わないのと、華が無さすぎて存在感に欠けるのが難点です。やはりこの役はアレンが演じるべきでした。
主人公の弟役で、主に80年代に活躍したスティーブ・グッテンバーグ（『ポリスアカデミー』！）が登場。ものすごく久しぶりに見ました。
面白いのは、主人公が見る夢の中に登場する往年の名作映画の数々。
『市民ケーン』『8 1/2』『沈黙』『第七の封印』など、元ネタの映画を知っていると楽しいです（『第七の封印』の夢で出てくる悪魔がクリストフ・ヴァルツ！）。
映画は非常にホロ苦い終わり方をしますが、アレン若き日の作品群にあった死への恐れのようなものが希薄になり、ヴィットリオ・ストラーロの撮影も相まって、明るさを感じさせるのがポイントでした。むしろ死への恐怖をセルフ・パロディ化しているところに余裕すら感じます。
★★★。陽光あふれるスペイン港町のロケーションも良かったです。
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