本日の青の会は10人のところ、急に都合の悪い方、熱発の方がおられて8名の出席となりました。
前半、題詠
後半、佐々木通代歌集『夜のあすなろ』批評会
題詠 手
「肉厚で柔き手は吉」と高島暦 小池さんの握手ぬくとかりけり
*高島暦を見て思い出したんですね
*高島暦が目を引く、小池さんと固有名詞が多いのでは?
*小池光と入れる
*小池さんとの握手 との を入れる
*小池さんの手 ではどうか
とうこ・小池光とフルネームは入れない。小池光さんとは限らなくてどこの小池さんで もいい。「手」ではニュアンスがちがう、さっぱりと握手でなければ。
「手」の題詠を考えたとき、手相を思った。
昔どこの家にも「高島易断・家庭暦」というのがあって、そこに手相が載っていたのを思い出して調べてみると、肉厚で柔らかい手は吉と書いてありました。
小池光さんの手はえっと思うほどふっくらとしています。そこで小池さんが出ました。
後半は『夜のあすなろ』佐々木通代歌集の批評会
『夜のあすなろ』 佐々木通代歌集 とうこ選
雪崩のやうにその時はきてわが夫もう自転車に乗れないと言ふ 155
九か月病まず狂はず来しわれの影うつりをり夜の白壁 169
すすぎたる面(おもて)いちまいこのよるの月にさらして秋のいりくち 27
ゆめにをとこ大鍋ひとつ運びをり畳のうへをいたくしづかに 33
青麦の穂先けぶれる武蔵野のはたてをゆけり日傘はつばさ 68
短評
今回の歌集は、ご主人等、別れが主題となった大事な一冊と思う。ご主人を詠む挽歌は切ない。それらは個人的で特別な歌ではあるが、読者は(私など年齢的に)十分に理解が出来て共感を覚える。作品は普遍性を持つ。田島邦彦は「作歌あるいは実作の究極の目標ないし理想は、自己の作品の幾つかが普遍性獲得の評価を得ることではなかろうか」と言う。挽歌は多いが「日傘はつばさ」と佐々木さんは本来前向きの人、凛々しく前を向く姿勢がある。
1首目、自転車という具体が効いて哀感が増す。
2首目、夜の白壁の静止が凄み。
3首目、すがすがとして上手な歌。
4首目、夢の歌が所々に出てくる。バケツを持つ歌もあり、ここでは大鍋、どちらもからっぽの感があり、、何かを入れたいという願望ではないか。
「どんな時も歌を詠もうと心に決め詠んできました」というあとがきに触れた方が3人もいて、圧倒的でした。
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