散 歩 お〜い、どこまで歩いてゆくのでせうか この青空を刻印しよう 川辺りのすすきほろほろ群立ちてあたたかきひかり四囲に満ちたり あと何年生きるのかしらといひながらオレンジのジュレつついてふたり ぼろけてもかはいさうなど
山名聡美歌集『いちじくの木』作者はまだ30代の女性、塔所属 オーバーを椅子の背中にかけるとき牡鹿の角のにおいがしたりいまはコートというね。オーバーは古い感じ(そこがいい)牡鹿への飛躍が心地よい。エロスがある。 実家からとどくしいたけ
『チェーホフの台詞』 野上 卓歌集 一瞬、野上さんか!と思われるような表紙の人物スケッチ画、いやそれはあるまいとページをめくるとそこには野上です、の歌があって仰天する。かつてこのような歌集があっただろうか。そこでこれは一風変わった作者で
しづしづ出でよ みどり眼にふりかへりざま吾をとらへおれを随(つ)けるなと蟷螂いへり 朝の日に水浴びのすずめ十四五羽コンクリートの浅き水たまり 氷川丸の煙突はいま雲吐けり しづしづ出でよ航海日和 神奈川県警POLICEの船は速度