mixiユーザー(id:6337596)

2023年03月10日19:38

48 view

映画への美しい鎮魂歌 『エンドロールのつづき』

なんだか最近、見る見る映画がどれも面白く、早くも今年は当たり年なのではないかと考え始めています。インド映画『エンドロールのつづき』を見て来ました。

つい先日見たスピルバーグの『フェイブルマンズ』も映画愛の作品でしたが、こちらはもう少し深く、映画へのレクイエムのように感じました。

これは傑作と思います。

【物語】
2010年。
インド、クジャラート州の鉄道駅で乗客にチャイを売って生計を立てている一家がいた。
ある日、厳格な父が珍しく家族を映画館へ連れていく。小学生の息子サマイ(バヴィン・ラバリ)は、すっかり映画に魅せられてしまう。
やがて、映写技師のファザル(バヴェーシュ・シュリマリ)と仲良くなったサマイは、母の作ったお弁当と引き換えに、ただで映画を見せてもらうようになる。

…『ニューシネマ・パラダイス』のように甘い映画ではなく、映画に憑りつかれた少年の目を通して映画そのものを描いた、美しい作品です。

フイルムからデジタルへの衝撃的な転換が描かれており、それは映画にとって悲劇なのですが、ラストの少年の前向きな一歩が救いでした。それは世界の名監督たちの名前が読み上げられるナレーションと重なり、偉大な先人たちの時代の終わりを尊敬を持って彩った、名シーンでもありました。

食を丁寧に描いた映画は名作というのが持論なのですが、この映画もまた食への情熱が込められていて、それも非常に良かった点のひとつです。

★★★★。
余談ですが、この映画の監督は、日本での配給会社が尊敬する小津安二郎監督のホームグラウンドである松竹映画だと聞いて、喜んだとのこと。監督の温かい人となりが伝わってくるようなエピソードです。
1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年03月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031