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2020年02月16日03:56

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book『華僑二世徐翠珍的在日』(徐翠珍)

徐翠珍著『華僑二世徐翠珍的在日/その抵抗の軌跡から見る日本の姿』(東邦出版)を読んだ。著者の徐さんとは靖国訴訟等でご一緒し、先に出した私の本『靖国を問う』の初出の雑誌『反天皇制市民1700』誌の編集者で大変お世話になった。徐さんのお母さんは上海で暮らしていた少女の時代に日本軍の侵略にあった(1932年上海事変)。お母さんはその数年後、日本(神戸)へ移住し、すでに渡日していた同郷のお父さんと出会い、結婚し、徐さんが生まれた。徐さんは中国人2世だ。この本『華僑二世徐翠珍的在日』は日本で生まれ育った徐さんが辿ってこられた人生とその闘い(国籍条項撤廃の闘い、指紋押捺拒否の闘い、靖国裁判等)がつまっている。いつも徐さんとご一緒していて感じるのは徐さんの人生と私の人生は「合わせ鏡」のように思えることだ。私と徐さんは3歳違いで、私の父は中国侵略軍の兵士として中国に渡った(1937年)。2度目の召集を経て、1945年1月に新型肺炎で今話題の武漢近郊で戦死した。私の生まれたのは1944年の3月だ。その後の私の人生は父の戦死と私を育ててくれた母の苦労とを背景にしている。日本の戦争による被害の側にある徐さんと加害の側にある私は鏡の裏と表のように思うのだ。この本をそのような目で読み、徐さんの人生に引き寄せられ、一気に読んだ。7章にわたる本編は実によいが、「資料編」にはうならされた。著者略年表、在日中国人渡日関係史、指紋押捺拒否裁判の意見陳述書、「恩赦」拒否声明、戦争法違憲訴訟意見陳述等中味が詳細で濃い。読後に、徐さんの原点に上海事変をくぐり抜けたお母さんの体験があるとすれば、私の原点である父の戦死の地、武漢を私の人生の最後に訪れることだろうとあらためて思った。父をふくめた日本軍が中国で何をしたのかを現地で具体的に知ることが僕の最後の課題だと思った。実に考えさせられることの多い本だった。
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