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2020年01月07日09:54

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book『クワトロ・ラガッツィ(下)/天正少年使節と世界帝国』(若桑みどり)

新年明けましておめでとうございます。今年の最初の本、若桑みどり著『クワトロ・ラガッツィ(下)/天正少年使節と世界帝国』(集英社文庫)を読み上げた。天正少年使節のローマでの教皇への謁見、その盛大な歓迎ぶりが実に生き生きとした叙述でおもしろい。また謁見後、教皇が病死するので、新教皇選出のコンクラーベ、新教皇の戴冠式への出席等での臨場感あふれる叙述にも驚かされる。それ以外でもイタリア国内各地(フィレンツェ等)での歓迎ぶりも興味深い。その後、少年使節は帰国の途につくのだが、7年の間に日本は信長が本能寺の変で急死し、秀吉の天下統一と切支丹禁教の時代に様変わりしつつある。その後の家康による幕藩体制下の徹底的な禁教の時代に移り、少年使節のその後は悲惨の極みだった。「マンショは節を全うし、42歳で病死。マルティーノは国外追放となり、マカオで死亡。そしてジュリアンは潜伏し、長崎で殉教。ミゲルはいつ死んだか分からない。彼は背教者となった。四人の生涯は4枚の葉のように分かれていた。」(第八章 落日)最終章の徳川三代にわたる切支丹弾圧の様はすざましい。一通り最後まで読み終えたが、西洋史と日本史が組み合わさった叙述がなんとも複雑、錯綜していて読みずらい本だったのと、著者の魅力はイタリアを中心とするルネサンス期の美術の造詣の深さだというのが、結論であった。ちょっと間を置いて、松田毅一著『天正少年使節』(朝文社)を読もうと思う。
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