mixiユーザー(id:6337596)

2019年12月08日00:30

329 view

1作で終わったのが惜しすぎる 『女殺し屋 牝犬』

大映の殺し屋映画の傑作『ある殺し屋』の姉妹編ともいうべき、『女殺し屋 牝犬』を見ました。

女が主人公のハードボイルドとしても、これは傑作でした。

1969(昭和44)年、大映作品です。


【物語】
和風スナックのママである福沢香代(江波杏子)は、凄腕の殺し屋であった。
ヤクザの幹部より、脱税で告発中の金融王を消すという以来を受けた香代は、ホテルのプールで仕事を成し遂げるが、香代の口封じをねらった組織が彼女に罠を仕掛けてくる。
依頼主の裏切りに激怒した香代は、ヤクザの幹部を消し、迫りくる殺し屋を次々に返り討ちにする。


…続編を作って失敗した映画は数多くあれど、続編が作られなかったのがもったいない映画というのは少ないものです。この映画もその一つ。

主人公の女殺し屋・香代が最高!演じるのは江波杏子です。
任務に失敗しない、冷徹なプロの殺し屋。報酬は現金で、依頼時に半額を受け、残りを任務完了後に受け取る。連絡は彼女からする。依頼主の嘘や裏切りは絶対に許さない。

それって、映画公開と同時期に始まった「ゴルゴ13」そのものです。

デューク東郷と違うのは、任務のためには一般人も利用し、そのためには愛想もふりまく点。
どうして殺し屋になったのかについては触れられず。彼女の少女時代と思われる、血にまみれた少女の短いショットが挿入されるだけで、多くを語りません。それもまた、シビれる要素です。

武器は、大きなエメラルドの指輪に仕込んだ毒針で、『ある殺し屋』の市川雷蔵を彷彿とさせます。サイドアームとしてハンドガンを携帯。そちらの腕も一流です。

ヤクザの大幹部を殺し、その上に立つ企業の重役も殺し、頂点に立つ政治家に迫るという、どんどんピラミッドの上に迫る下克上のような構造の展開も面白かったです。

殺す直前に標的に電話をかけ、精神的に追い詰め、隙を作らせるのも良かった。

高級クラブでひとりグラスを傾ける江波杏子。
確実に仕留める一弾を放つ江波杏子。プロの殺し屋とはこういうものだと、目や口で語らずスタイルで語る姿が最高です。

★★★★。

2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年12月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031