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2018年05月28日13:02

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book『国体論 菊と星条旗』(白井聡)

白井聡著『国体論 菊と星条旗』(集英社新書)を読んだ。著者は『永続敗戦論 戦後日本の核心』(太田出版)で著名だが、その論理を拡張し、敗戦後の「国体」の再編過程を論理的に明らかにする。その論理展開が鮮やかだ。「敗戦時の『国体』の再編劇において決定的な役割を果たしたのがアメリカであったことは、言うまでもあるまい。(中略)そしていま、アメリカの媒介によって『国体』が再編され、維持されたことの重大きわまる帰結を、われわれは目撃しているのである。天皇とアメリカの関係性は、これまでもっぱら敗戦直後の経緯について政治史的観点から記述されてぃた。本書のテーゼは、戦後天皇制の働きをとらえるためには、菊と星条旗の結合を、『戦後の国体』の本質として、つまり、戦後日本の特異な対米従属が構造される必然性の核心に位置するものとして見なければならない、というものである。」(「序」)以下目次を上げて置く。

序   なぜいま、「国体」なのか
年 表 反復する「国体」の歴史
第1章 「お言葉」は何を語ったのか
第2章 国体は二度死ぬ
第3章 近代国家の建設と国体の誕生(戦前レジーム:形成期)
第4章 菊と星条旗の結合―「戦後の国体」の起源(戦後レジーム:形成期1)
第5章 国体護持の政治神学(戦後レジーム:形成期2)
第6章 「理想の時代」とその蹉跌(戦後レジーム:形成期3)
第7章 国体の不可視化から崩壊へ(戦前レジーム:相対的安定期~崩壊期)
第8章 「日本のアメリカ」―「戦後の国体」の終着点(戦後レジーム:相対的安定期〜崩壊期)
終 章 国体の幻想とその力

 ただ1点だけ言うと、今の天皇の生前退位をめぐる「お言葉」への著者の親和性は、父が戦死している私のそれへの違和感からは理解できない。
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