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2017年09月10日13:33

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book『大航海時代の日本人奴隷』(ルシオ・デ・ソウザ、岡美穂子)

ルシオ・デ・ソウザ、岡美穂子著『大航海時代の日本人奴隷/アジア・新大陸・ヨーロッパ』(中公叢書)を読んだ。大航海時代(日本の戦国時代、豊臣政権時代に当たる)、ポルトガルの貿易圏がインド(ゴア)、フィリピン(マニラ)、中国沿岸部(マカオ)、日本(長崎)、マニラからメキシコへと世界的に広がっていた。この貿易圏に乗って、ユダヤ教から改宗した新キリスト教徒(マラーノ)の商人が異端審問所の追及から逃れて移動して来る。その新キリスト教徒が抱えていた奴隷(アジア系、アフリカ系、日本人)の実態を究明したのが本書である。私は昔、マラーのについての小岸昭さんの『スペインを追われたユダヤ人』(人文書院)『マラーノ系譜』(みすず書房)等の本を熱中して読んだことがある。それが日本人奴隷と結びつくとは!と驚いた。著者は御夫婦で、緒に就いたばかりの研究に踏み出されている。本の内容は、交差するディアスポラ(日本人奴隷と改宗ユダヤ人商人の物語)から始まり、その究明はアジア(マカオ、フィリピン、ゴア)、スペイン領中南米(メキシコ、ペルー、アルゼンチン)、ヨーロッパ(ポルトガル、スペイン)にまで及ぶ。マラーノと日本人奴隷というまだ未開拓の領域の研究で、実に興味深い本だった。
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