鎌倉・四月
藪椿ひとつ咲くところ江ノ電はきりりきりりとおほまがりする
曇天の膨らめる海にたれも無口こゑ放つともこゑは吸はれて
物を食ふ人間か否か見極めて鳶はおほきくまはり逸れゆく
たふれたるディンギーの帆をひき起こす鋼の四肢が夕光のなか
束の間のお会ひですねえ くわんおんはまなざし眠き春のくらがり
ゆるやかな御衣(おんぞ)の袖にふとも縋るわが手のびゆけり長谷観世音
牡丹はそのくれなゐの自らを支へかなはぬ重さに咲けり
鎌倉は4月の末N会の吟行合宿でしたね。
誌上にもちらほら散見されて当日とは違う、も一回の楽しみでした。
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