本日の講義は斎藤茂吉『連山』より。
茂吉は小池さんが折に触れ繰り返し読む、そのたびに感じるところが有ると。
年ふれる壕のなかよりわが兵の煙管出でしと聞くが悲しき
短歌は記録性を持つ。この壕は日露戦争の時のもの。
壕の中で兵隊はタバコを吸っていたのだねえ。
それも煙管で…。
(煙管は手間暇かかる、のんびりである)
道観に飼はるる猫はキャラメルを今食はむとしてよろづを忘る
道観は道教のお寺の事。
キャラメルと猫のとりあわせが意外である、おかしい。
キャラメルが転がる、猫が夢中になって追う。場面が見える。
「今食はむとして」いいなあ「よろづ」これがいい名句!
わがそばに克琴(くーちん)といふ小婦(しょうふ)居り西瓜の種子を舌の上に載す
小婦は娼婦だね。ふつうの人が舌の上に載せて西瓜の種を見せたりしない。
北満ホテル第三十五号室の鏡にて伸びしわが顎鬚を見つつつまむ
荒々しい投げ出すような歌。いくらでも定型に作ることはできるのに、
そうではなく「鏡にて」ここだけが定型で決め。
斎藤茂吉は読めど飽かぬとおっしゃるが、どうも自分一人で読むときに、
その良さがわからな〜い。(ろくに読んでもいないし、こんなんでよいのでしょうか!)
題詠 ・ はさみ
なんでも切れる鋏をもつてます切れ過ぎるのでしまつてあります とうこ
小池 ・ ちょっと怖い!初句四音ね。
自由自在で面白い。時にこういう歌もいい。
添削 三句目空を。
なんでも切れる鋏をもつてます 切れ過ぎるのでしまつてあります
ほんとは不器用なのにこう言ってみたいのであります!
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