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2015年12月20日08:51

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book『イスラム化するヨーロッパ』(三井美奈)

三井美奈著『イスラム化するヨーロッパ』(新潮新書)を読んだ。著者は2011年〜15年に読売新聞パリ支局長だった人で、パリで起きたテロであるシャルリー・エブド事件を直接取材し、帰国後に再び起こったパリ同時多発テロの情報にも近接したところにいた。イスラム過激派によるテロがなぜ起こるのかをテロに直接関係した移民2世、3世の青年たち、その近親者に取材し、彼ら・彼女らはホームグロウン・テロリスト(ヨーロッパ生まれの、自国生まれのテロリスト)であること、その生育環境・社会的階層をとらえ、そして、いかにヨーロッパ社会が移民2世・3世を格差の底辺に置き、劣悪な居住・職業・社会環境に置いてきたかを明らかにする。イスラム国が生まれた後、どのような動機・精神状況で青年・少女たちがテロリストを志願してシリアに入国して行ったかも追う。また、イスラム移民排斥、反イスラム主義の極右政党台頭によって、ヨーロッパ各国の社会が変質していっているかも明らかにする。実にアクチュアルな展開で、興味深い本だった。次の著者の言葉にその視点がしっかりしたものだと感じさせる。「しかし、油と酢(キリスト教徒とイスラム教徒との関係をドゴールが「油と酢」にたとえたことを指す)は混じりあうと、おいしいドレッシングになる。キリスト社会とイスラム社会はいつか融合し、新しい欧州を作る日がのか、模索する姿を、私は追ってみた。」(「はじめに」)

<目次>
はじめに
1 過激派志願の若者たち
2 ホームグロウン・テロリスト
3 共存の葛藤
4 立ちはだかる壁
5 シャルリー・エブド事件の衝撃
6 イスラムと欧州政治
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