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2015年11月16日19:39

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book『水木しげるの「自伝」と「戦記」』(水木しげる)

先に水木しげる・荒俣宏著『戦争と読書/水木しげる出征前手記』(角川新書)を読んだので、この機会に水木しげるの「自伝」と「戦記」を読んでおこうと思った。読んだ水木しげるの「自伝」は『ねぼけ人生』(筑摩文庫)、「戦記」はマンガ『総員玉砕せよ!』(講談社文庫)、手記『水木しげるのラバウル戦記』(筑摩文庫)だ。全体を通じて、水木しげるの「自然体」の生き方が興味深かった。これは生育史のなかに出てくる「抑圧を嫌う」水木の独特の生き方がそうだし、戦争に動員されても現地の住民(水木は自然人という意味で「土人」という言葉を使う。水木は言葉の言いかえをしない。)のなかに自然に入っていける「偏見のなさ」にも現れる。「自伝」と「戦記」を通じて、先年亡くなった私の友人のお父さんが(パプア)ニューギニア戦線の生還者であったこと、そのお父さんがどのような地獄を見たのか想像しながら読んだ。「自伝」の最後の「失われた楽園」で水木は次のように書く。「僕が楽園(戦後再訪したラバウルをそのように言う)を求めるのは、妖怪の世界や死後の霊の世界を求めるのと共通していた。即ち、もっと別の心安らぐ世界がないかということだ。だから、南方の楽園の夢がしぼむにつれて(南の楽園も戦後そうではなくなったと言う)、妖怪や死後の世界に対する関心がますます強くなってきた。」
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