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2015年10月16日11:56

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book『介護民俗学へようこそ!』(六車由実)

六車由実著『介護民俗学へようこそ!/「すまいるほーむ」の物語(新潮社)』を読んだ。前著『驚きの介護民俗学』(医学書院)は「介護でこのような民俗学的アプローチができるのか!」とまさに驚きだった。前著の時は特別養護老人ホームという大規模施設におられた著者は、その後小規模のデイサービスセンター「すまいるほーむ」に移られ、水を得たようにさらに介護と「聞き書き」の取り組みを深化されている。著者は介護現場における「聞き書き」について次のように言う。「問題解決や支援を目的とするのでなく、利用者さんの人生や経験そのものへの強い関心から行う、介護民俗学の聞き書きでも、聞き手である介護スタッフは、利用者さんに『教えを受ける』という立場にある。介護する側とされる側に関係が固定化され、硬直化してしまう介護現場において、聞き書きによって、一時的であれ利用者さんと介護スタッフとの関係が逆転する事態が起きることは、人と人の関係を回復させ、介護という営みをもっと豊にすることにつながると、現場での経験を通して私は確信している。」この本はそのような介護の取り組みを「すまいるほーむ」の物語として描きだしている。また、そのなかで「老いることの価値」を発見し、介護のあり方を問いかける。介護という現実に近接する状況にある私は、「このような取り組みをされている介護労働者がいる!」と感動じ、この本を読んで、ほのかな「希望」を感じた。『驚きの介護民俗学』とともに読まれることをおすすめする。

<目次>
第1章 聞き書きの沃野へ―すまいるほーむの風景
第2章 死を想う
第3章 すまいるほーむができるまで―村松社長への聞き書き
第4章 認知症の人と共に
終章 聞き書きで介護の世界が変わっていく
あとがき

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