mixiユーザー(id:24322169)

2015年09月15日09:00

52 view

book『格差固定』(三浦展)

三浦展著『格差固定/下流社会10年後調査から見える実態』(光文社)を読んだ。著者が2005年に出した『下流社会/新たな階層集団の出現』(光文社新書)はその後の「下流社会」論の深化に大きな役割を果たしたが、今回のこの本は「それから10年たった今、日本はより下流社会の方向に向かったのだろうか。あるいは中流社会のままだったであろうか。」(「はじめに」)を明確にした本だった。その検証のために、三菱総合研究所の「生活者市場予測システム」という毎年3万人を対称に行われた調査とこの調査の回答者への追加調査「下流社会10年後調査」とを使用した。その結果は10年間で「格差固定」したことが明確になり、実に興味深い調査結果であった。また、著者の今後の日本社会についての「予測」も洞察力があり、大変おもしろかった。その調査結果を「はじめに」の見出しからピックアップすると、「10年間で下流社会化が進み、下流が43%になった」「団塊世代が下流下した」「若者は自分の階層がわからなくなった」「消費構造の変化が歴然」「軽自動車と中古車と2000万円以上の外車が売れる時代」となる。以下、叙述は階層格差の実態、格差固定の実態、職業別分析、政治と政策メディア、消費意識、コミュニティとコミュニケーション、将来展望と続く。最後の「補論」で、著者が使われた調査と内閣府調査の結果が違い(「内閣府の調査では非正規雇用者の中流度が高い」等)、その原因は「調査法の違いによるバイアス」にあると明らかにされる。この種のデーターに対して注意する必要があると教えられる。

<目次>
はじめに
第1章 階層格差の実態  
第2章 格差固定の実態
第3章 職業別分析
第4章 政治と政策
第5章 メディア
第6章 消費意識
第7章 コミュニティとコミュニケーション
第8章 将来展望
参考資料
あとがき
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する