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2015年09月09日11:02

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book『カメラを持て、町に出よう』(想田和弘)

想田和弘著『カメラを持て、町に出よう/「観察映画」論』(集英社)を読んだ。想田さんは台本やナレーション、BGM等を廃した「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの手法を提唱し、実践している映画監督だ。その想田さんが東京の映画美学校で行った講義を再構成した本である。本はその方法論、観察映画「選挙」の分析、撮影、編集、観客論、映画の経済論と全面展開し、受講者の質問や意見も盛りこまれた実におもしろい「観察映画」論だった。著者がこの本で提示したのは次のことである。「僕なりの方法論ー世界をどう観て、どう受け止め、どう生きるか、を深く追究することによって、読者の皆さんがそれぞれ『世界をどう観て、どう受け止め、どう生きるか』について考えるきっかけにしていただきたいのです。」(「はじめに」)私は想田さんの映画は「精神」しか見ていないのだが、その斬新な手法に思わず引きこまれ、驚いた記憶がある。この本を読み、もう一度「精神」を見ようとレンタルDVDを借りてきた。また、その他の作品の「選挙」「選挙2」「Peace」「演劇1」「演劇2」も見ようと思っている。また、アメリカ在住の日本人映画人で、『日本人は民主主義は捨てたがっているのか?』(岩波ブックレット)等の想田さんの発言、『マリファナも銃もバカもOKの国/言霊USA2015 』(文藝春秋社)等の町山智浩さんの発言に私は大変触発されているので、そういう意味でもこの本はおもしろかった。

<目次>
はじめに
第1講 自分の方法論を育てる
第2講 観察映画『選挙』を観察する
第3講 撮影……唯一無二の「時間」を撮る
第4講 編集……過去を現在から解釈する
第5講 ドキュメンタリーに“安全な観覧席”はあるか
第6講 経済的な独立性が映画を守る
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