昨年のベネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したスウェーデン映画『さよなら、人類』を見て来ました。
予告編を見て、本編との乖離に気づく映画はたくさんありますが、ここまで予告編通りな映画も珍しいです。
想像通り、映画本編も珍品でした。
【物語】
パーティ用の面白グッズを売り歩く2人のサラリーマン、ヨナタン(ホルガン・アンダーソン)とサム(ニルス・ウエストブロム)。グッズは売れず、性格も異なる2人の間には喧嘩が絶えないが、旅先で会う不思議な人々を経て、生き方を見つめ直していく。
…粗筋は書いてみましたが、特にこれといった決まったストーリーはなし。起承転結もはっきりしていません。その、”旅先で出会う(出会わない人もいる)”不思議な人々というのが、
・生徒をセクハラしまくるフラメンコ教師
・衝撃的な告白をする床屋のオヤジ
・船上の食堂で起きた死
・宝石を持ったまま天国へ行こうとする母
・現代のバーに突如現れた18世紀の国王カール12世
〜などです。
特に、2人の主人公が訪れたバーに、突如現れるカール12世というのエピソードは異質で、理由も明らかにされず、非常にシュールです。
映画は39のシーンから構成されていますが、カメラはまったく微動だにせず(固定されたまま)、それでいてどのシーンも一枚絵のような構図の面白さに満ちています。
その中から監督(ロイ・アンダーソン)の意図をくみ取るのは困難。
考えることで参加する型の映画ですので、そこから答えを導くのは見る人それぞれです。
★★★。こういう映画も良いものです。
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