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2015年08月16日10:05

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book『ドクター・ハック/日本の運命を二度にぎった男』(中田整一)

中田整一著『ドクター・ハック/日本の運命を二度にぎった男』(平凡社)を読んだ。「ナチスと日本を結びつけた十字架を背負い、日米間の終戦工作を担ったドイツ人スパイ。女優・原節子誕生にも立ち会った、その謎に満ちた生涯」と本の帯にある興味深いノンフィクションだった。ハックの最初の関わりはナチス・ドイツとの「日独防共協定」、しかしその後はナチスの問題性に気付き、「日独伊三国同盟」には反対する。そして、戦争末期のアメリカとの「和平工作」に奔走するが、日本の軍部、政権中枢部に対応できる人物がいず、頓挫する。その結果が、広島・長崎へ原爆投下、ソ連の参戦(満州の悲劇)、無条件降伏だった。また、この本の花を飾るのが日独合作映画「武士の娘」(日本では「新しき土」)で女優・原節子が誕生とハックの関わりだ。(原節子については四方田犬彦著『李香蘭と原節子』(岩波現代文庫)が詳しい。)実におもしろい本だった。中田整一の本は『トレイシー/日本兵捕虜秘密尋問所』(講談社)、『盗聴 二・二六事件』(文藝春秋)を読んでいるが、優れたノンフィクション作家だ。

<目次>
序 章 神戸港に降り立った密使
第1章 フライブルク
第2章 二つの顔―武器商人と秘密情報員
第3章 原節子と「武士の娘」
第4章 二・二六事件と日独接近
第5章 運命の岐路
第6章 漏洩した日独の秘密
第7章 スイスの諜報員
第8章 和平工作とハック
第9章 刀折れ矢尽きて
終 章 ハックの遺言
あとがき
主要参考文献・資料
関連年表
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