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2015年08月14日19:34

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book『3+6の夏』(作・中澤晶子/絵・ささめやゆき)

昨年の夏に「毎日新聞」に連載された中澤晶子作・ささめやゆき絵『3+6の夏/ひろしま、あの子はだあれ』(汐文社)がすてきな絵本になった。中澤さんに送っていただいたので、すぐ読んだ。新聞連載の時に熱中して読んだが、こうして本になるとさらに印象深いものがあった。「二人組×三、六人の子どもたちが体験する不思議なできごと、その謎を解くかぎは、七十年前のあの日、ひろしまで起こったことにあった。」(表紙の裏の言葉)3つの話にそれぞれ70年前に亡くなった子どもがあらわれる。「ひろしま、あの子はだあれ」というタイトルのそれ。心にしみいる感銘があった。今回は次の箇所がとくに心に残った。「セルゲイの写真は、一枚も残っていなくて、もうあの子の顔も忘れそうでした。わたしは、あの日、別の場所にいて、生き残ったの。(略)写真のなかのセルゲイは、今でも、あの日のままでの、やんちゃな、わたしのかわいい弟です。ありがとう。」最後に昨年の新聞連載時の感想を付記する。また、中澤さんから「ひろしま修学旅行生との20年」(「中国新聞」連載)を送っていただいた。私の現職時代に取り組んだ広島・長崎の修学旅行を思い起こし、読ませていただいた。

<新聞連載時の「3+6の夏」の感想>
中澤晶子・文/ささめやゆき・絵「3+6の夏」(毎日新聞大阪版、30回連載)を読んだ。私はこの作品を「毎日新聞ニュースサイト」で読んだ。広島の8月、3組6人の子どもたちが被爆死した子どもたち3人と出会うお話で、しみじみした味わいがあった。ラストの印象に残るシーン。「あのね、あの子たち、覚えていてって、ことじゃない?だれかが覚えていないと、あの子たち、いなかったことになるでしょ」(6人のすわっているところから、少し離れたところの、水面が動いている。パシャパシャ、パシャ。)「だれかが、水をけっている」「3人分のパシャパシャだ。」(6人は、思わず、にっこりする。<中略>3たす6のパシャパシャ。)私はこの作品を読みながら、死んだ人たちを「あの日のまんま」に思い浮かべる被爆者・佐伯敏子さんの語りを思い浮かべた。それをこの作品は子どもの感覚で描いていると感じた。また、私が中澤さんの作品を好きなのは、そこに描かれる子どもたちの素振り、立ち居振るまい、子どもの関心が移動するときの心の動きが、私の子どもの頃の感覚を呼び起こし、その作品の世界に素直に入っていけるところだ。それとささめやゆきさんの作品もすてきだ。この作品が早く絵本になりますように!

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