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2015年08月04日00:27

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東宝特撮映画史に風穴を開けかけた 『進撃の巨人 前篇』

夏休みの大作映画の1本である『進撃の巨人 前篇』を見て来ました。

アニメーション版が好きで、昨年から連続公開された総集編の2作も高く評価しているのですが、それだけに期待と不安の入り混じる鑑賞でした。

しかしこれは。

東宝特撮映画史に、久しぶりに風穴を開けかけた(まだ後篇を見ていないので、”開けて”はいない)傑作です。

>三浦春馬主演 実写『進撃の巨人』が大作抑え初登場1位
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=3548581


【物語】
突如現れた巨人によって、人類の大半が喰われて100年後。
生き残った人々は巨大な壁を三重に築き、巨人の侵入を防いでいたが、巨人が出現しなくなって長い年月が経ち、人々の記憶からも巨人の存在は薄れかけていた。
エレン(三浦春馬)、ミカサ(水原希子)、アルミン(本郷奏多)の3人は幼馴染だったが、ある日、超大型巨人が壁を破壊する現場に居合わせ、離ればなれになる。世界は再び巨人の脅威に晒された。
2年後、巨人を駆逐する兵士となったエレンは、壁外調査の任務でミカサと再会。しかしミカサは別人のような戦士になっていた。


…そもそも原作漫画の発想の原点が名作『サンダ対ガイラ』ですし、樋口真嗣監督も古くからの特撮マニアですから、東宝特撮へのリスペクトは(エンド・クレジットまで)並々ならぬ感じでした。

TV局主体の映画化ではない、「東宝映画作品」であることからも本気度を伺わせます(製作委員会方式の作品ではありますが)。

バッシングの要因の一つは、原作・アニメーションで非常に人気の高いキャラクターであるリヴァイ兵長が登場しないことや(代わりに登場するシキシマ=長谷川博己は、まったくもって似て非なるキャラクターです)、大幅に改編されたミカサの性格などにあると思います。映画は、そういった
原作・アニメファンの期待に応えることなく、うまくかわしておりました。
(決して安易に期待に応えてはいないところが気に入りました)

中世ヨーロッパのような電気のない世界観を、数百年後の日本であるかのような、電気も内燃機関もある世界に置き換えたのは、脚本家=評論家の町山智浩のアイデアかもしれませんが、この点にも違和感は感じられませんでした。原作のエッセンスはそこにはないからです。


樋口真嗣監督は、アニメーター時代の「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」から追っかけている人。しかし監督作となると微妙で、『ローレライ』は好きでも『日本沈没』は駄目、『隠し砦の三悪人』は最悪、『のぼうの城』はまずまず…という、ちょっと困る監督でしたが、今回で見事に開眼しました。

傑作短編『巨神兵東京に現わる』で見られた、東宝特撮のお家芸とも言える伝統的メイクが、3DCGの中に内包されているという独特の表現方法が面白く、そこにこの映画の真骨頂があります。まさに『サンダ対ガイラ』のおぞましい恐怖を現代に蘇らせた、特撮映画らしい特撮映画です。

ただし、キャラクターデザインの貞本義行、音楽の鷺巣詩郎、そして監督に至るまで、主要なスタッフが「新世紀エヴァンゲリオン」組であることから、どこか作品の根底に「エヴァ」にリンクする空気を感じたのは、愛嬌と言うべきでしょうか。

来年公開の東宝版『ゴジラ』は、総監督の庵野秀明カラーの方が強いのでしょうが(笑)、この映画で大変な仕事を成し遂げつつある(後篇がまだなので成し得たとは言いません)樋口監督は、間違いなく東宝特撮監督史にもその名を残すであろうと言えそうです。

最後になりますが…ハンジ(石原さとみ)かわいいよハンジ。

★★★★。
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