常人を超えた能力を有する若者たちの戦いを描く映画『ストレイヤーズ・クロニクル』を見て来ました。
類似のジャンル映画である『X−MEN』を彷彿とさせます。
予算もスケールも『X−MEN』の100分の1ぐらいではあるものの、アイデアで面白くしようという姿勢があり、楽しめました。
土曜日というのに観客が自分ひとりだったのが寂しい限りでしたが…。
【物語】
1990年代の政府の実験により、人間の限界を超える様々な能力に覚醒した子供たち。
やがて実験は中断され、成長して社会に溶け込んだ彼らは、リーダー格のスバル(岡田将生)を中心に、官僚の渡瀬(伊原剛志)の仕事を手伝う日々を送っていた。
そんな彼らの前に、より強い能力を持った”アゲハ”と呼ばれる若者たちが現れる。20歳前後までしか生きられないという”アゲハ”のメンバーは、マナブ(染谷将太)をリーダーとして、派手な殺しに手を染めていた。
やがて対峙した2つのチーム。仲間を失いつつも、スバルは事件の背後に隠された秘密に迫っていく。
…超高速移動や瞬間記憶、未来予知などの能力を活かしたバトルが見どころの一つです。
以下の欠点さえ無ければ、傑作になり得たと思うのですが、
1.バトルの最中に自分語りを始める敵
2.死にそうで死なない登場人物
3.決戦の舞台が廃工場
4.頻繁に挿入される回想シーン
5.思い悩みすぎな主人公
〜この5つの負の要素が作品の雰囲気とリズムを台無しにしています。
ただそれでもキャラクターはみんな良く、特に主人公と敵対する(悪玉である)能力者=染谷将太は、複雑な感情を持ったキャラクターで、悪には悪の事情があるのだということを声にはせずに滲み出しているのが白眉でした。最近の若者邦画では一番いい。
そしてそのキャラクターの心の動きを彩る挿入歌兼主題歌”ロマンスがありあまる”が、とてもいい。この歌で初めて”ゲスの極み乙女。”というバンドを知りました。作品の世界にマッチしています。ヒット狙いのタイアップ曲とは違う、意味のある使われ方をしています。
等身大の若者像が描けた佳作です。
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